御布施とは

御布施を渡すイラスト

御布施とは寺院や僧侶に施す金品のことで、寺院や僧侶が在家の者に法を施し、在家の者は寺院や僧侶に金品などの財施を施します。

布を施す意味

糞掃衣のイラスト

釈迦の時代には布は高価な物であり、衣服や寝具、装飾具の材料としての必需品としてお金の代りとして使われたり、物々交換の品としても使われていました。

僧侶は物に対する執着を無くすために自分の持ち物を一切持たず、三衣一鉢のみ所有を許されていたのですが、身に付ける衣にしてもゴミとして捨てられた衣服の切れ端を縫い合わせて作ることから糞掃衣(ふんぞうえ)と言われるのです。

在家の者が僧侶や寺院に布を施すことは大いなる功徳であったことから、御布施と言われるのです。

大切な物を施すのがお布施

貧者の一灯

寺院や僧侶は釈迦の説いた法を広めるという役割を担っているので、仏法僧が三宝と言って仏教での宝物として大切にされてきた中で、在家の人が仏法に於ける徳を積もうとした時に、僧侶や寺院に施すのが形として一番分かりやすいのです。

僧侶は煩悩の源である執着を無くすという意味で自分の物を持たずに生活しているのですから、その生活を支えるのが功徳であり、在家の者であっても自らの物に対する執着を無くすという意味では、最も大切なものを施すのが本来の御布施なのです。

布は古代の時代には最も大切なものだったのです。

寺院は経営ではなく運営

寺檀制度のイラスト

寺院は悩み苦しむ人の救済、供養の実践、仏法を説く場でありますから、仏を祀り礼拝する場や人が集まる場が必要になります。

また寺院での住職とは字のごとく、その場に住むという職業なので、僧侶の生活費も必要になります。

お寺には堂々伽藍や心安らぐ自然があって僧侶の生活もあるのですからお金が必要であり、多くの場合には法事葬儀戒名祈願、檀家からの寄付などの収入で賄われていて、利益を追求していくことではなくて、維持していくための活動ですから運営と言われます。

会社の場合には経営であり、利益を追求する活動になりますので、如何にして利益を生み出すかが経営者の腕の見せ所なのであり、利益は従業員に分配された結果として従業員の生活が豊かになり、従業員の労働意欲が湧くことや会社の繁栄に繋がります。

しかし寺院は利益を生み出す会社ではありませんので、最低限必要なだけの生活に使うか、御本尊様の荘厳のために使えば良いのです。

御布施は御本尊様に献上するもの

奈良の大仏のイラスト

御布施は本来御本尊様に献上するものであり、読経してもらった僧侶にお礼として渡すものではありません。

読経してもらった僧侶にお礼として渡すものだと思えば尊敬出来ないような僧侶には渡したくないものです。

僧侶は本尊様に対する取次の仕事ですから、渡すのは僧侶ですが、実際には御本尊様に御供しているのです。

しかし世の中には頂いた御布施が自分の物だと思っている僧侶が居るのも事実です。

その判断には見極めが大切なのです。