お焚き上げをしていますと、訳あり因縁のいろんな物が舞い込んでくるのですが、過去には自殺に使われたロープというものもありました。
依頼主の方も特別な思いがあったのでしょう、預ける時にその旨伝えてくれましたので、渡した瞬間に楽になったようでした。
しかしロープには何の罪もない訳でして、ただの紐だと言えばそれまでなんですが、ただの紐であったら不要になれば捨てれば済むはずでしようが、あまりにもショックな光景、目の中に焼き付いた思いというのが、ロープと亡き人を結び付けているのです。
亡くなる瞬間には間違いなく苦しかったはずです、その苦しい思いが今でも続いてはいないかと思うと私達もまた苦しい、その苦しみを少しでも和らげてあげたい…そういう思いを物であるロープが担っているのです。
それだけの思いが込められたものは、やはり普通に捨てる訳にはいきません。亡き人の苦しみを和らげ、供養に結び付ける、これもまたお焚き上げなのです。