病草紙第2弾は「歯痛の男」です。この場面の右側には注釈があり、「男ありけり。もとより口の内の歯、皆揺ぎて、少しも、強(こわ)き物などは、噛み割るに及ばず。なまじゐに落ち抜くることはなくて、物食ふ時は、障りて耐えがたかりけり。 」
歯がぐらぐらで硬いものが噛めない状態であり、ぐらぐらしていても抜けないので食事をする時には痛くて仕方ないようです。隣の女性は奥さんでしょうか、見てもらっています。
ご飯も少ししか食べらなくて残しています。現代で言う所の歯周病であり、もうこれは重度の歯周病ですが、現代のような歯医者もありませんので、治療する術がありません。たぶん抜け落ちるまで我慢するしかないでしょうし、医者と呼ばれる所に行っても麻酔無しでヤットコで抜かれるだけでしょう。
私もそうですが、最近は歯周病の治療で歯医者に行くことが多くなりました。若い時には歯は丈夫なつもりでしたが、ある時を境に急に脆くなっており、老が確実に迫っていることを感じます。
老いや病気はいろいろと不便なことが出てきますが、それでもまだ現代であれば歯医者に行けば痛い所は治してくれます、今の時代で良かったと思う次第です。