真言宗とは

真言宗

真言宗とは平安時代に唐の青龍寺の恵果和尚より伝承された密教を基本にして高野山金剛峰寺を修禅の道場に(高野山真言宗)、教王護国寺を根本道場(東寺真言宗)として確立した大日如来の秘密の教え(密教)です。

真言宗の歴史

高野山

平安時代に空海が開創した真言宗は1200年を経た現代まで息づく宗教として法の火を灯し続けてきましたが、長い歴史の中では様々な変遷があったのです。

真言八祖

弘法大師空海

インドで起こった密教が中国を経由して空海を通して日本に来るまでに八祖を経たとされ、真言八祖として今でも寺院に掲げられていることが多いのです。

付法の八祖とは

付法の八祖のイラスト

付法の八祖とは大日如来から法を伝授された流れです。

  • 大日如来(だいにちにょらい)
  • 金剛薩埵(こんごうさった)
  • 龍猛(りゅうみょう)
  • 龍智(りゅうち)
  • 金剛智(こんごうち)
  • 不空(ふくう)
  • 恵果(けいか)
  • 弘法大師

大日如来は法身として大宇宙の真理を司り、その説法を金剛薩埵が聞いたことから方が伝わり、大日如来と金剛薩埵は実在の人物ではありません。

大宇宙の真理…大日如来とは

伝持の八祖

伝持の八祖とは

伝持の八祖とは真言密教の金剛界と胎蔵界の法を灌頂という形で受け継いだ流れです。

  • 龍猛菩薩(りゅうみょうぼさつ、ナーガールジュナ)…金剛薩埵から密教経典を授かる
  • 龍智菩薩(りゅうちぼさつ、ナーガボーディ)…龍猛から密教を伝授される
  • 金剛智三蔵(こんごうちさんぞう)…インドで龍智から密教を学んで唐に帰り「金剛頂経」を伝える
  • 不空三蔵(ふくうさんぞう)…唐の長安で金剛智に師仕し「金剛頂経」を翻訳
  • 善無畏三蔵(ぜんむいさんぞう)…インド生まれで大乗仏教を学び、唐に渡って「大日経」を伝える
  • 一行阿闍梨(いちぎょう)…中国生まれで禅や天台、天文学などを学び大日経疏(だいにちきょうしょ)完成
  • 恵果阿闍梨(けいか)…中国生まれ。金剛界・胎蔵界両部の密教を受け継ぐ
  • 弘法大師…恵果阿闍梨より金剛界・胎蔵界両部の密教を受け継ぎ日本に伝える

密教の歴史

寂静尊

仏教の開祖の仏陀は紀元前5世紀頃の実在の人物で、欲望からの解脱による悟りを説き、当時既にあった呪術を基本とするバラモン教を否定していたのですが、仏陀の入滅後、時が経つにつれて仏塔が建ち仏像が造られるようになると古くからの儀礼が仏教に摂り入れられるようになりました。

仏教は教団として発展していくにつれて信者たちの現実的な悩み苦しみに対応するために呪術的な要素を取り入れて、治病や厄災消滅、怨敵退散などの呪術や医学、薬学、天文学などを取り入れて紀元4~5世紀にはインドの初期密教が成立し、やがて中国を経て日本には奈良時代に伝承しています。

7世紀頃になるとこのような儀礼が体系化されて「大日経」と「金剛頂経」に集約されて大日如来を教主とする密教になり、両部の大経と言われる「大日経」と「金剛頂経」の経典がサンスクリット語から漢字に訳されて中国に伝わったのが8世紀になってからです。

また7世紀後半にはチベットに伝来した仏教は土着のポン教と融合しながら独自の発展を遂げ、インド後期密教の流れを汲む無上瑜伽タントラが実践されています。

ラマと呼ばれる師僧を崇拝し、ダライ・ラマを頂点とする活仏の制度が今でも根付くチベット密教は我が国との交流も深く、2011年11月1日-2日に、高野山大学125周年記念行事に於いて、ダライ・ラマ14世が高野山を訪れ、講演や灌頂を行いました。

ニンマ派、カギュ派、サキャ派、ゲルク派の4宗派が存在して、いずれも顕教と密教の併修を柱としていますが、近年では埋蔵経典である「チベット死者の書」は、死後と再生へのプロセスの仕組みを詳細に解き明かした経典として世界中から注目されています。

死と輪廻転生解脱のための経典…チベット死者の書-死後の世界の詳細と解脱、転生法

空海が請来した密教

大日経-久米寺のイラスト

空海の若い時代には阿波の大滝岳や大和の金峯山などの霊山を巡り歩き、そしてある時は奈良の大寺院の経蔵に籠って経典を読みふけりの修行を積み重ねる内に大和国高市郡の久米寺にて「大日経」に出会い、密教の真髄が書かれていることに驚嘆し、即身成仏や諸仏諸菩薩の秘法の習得には師の伝授が必要であると痛感し、遣唐使として入唐出来る機会を伺っていたのです。

弘法大師空海について詳しく…弘法大師空海

804年に空海は遣唐使として入唐し、その当時にはまだサンスクリット語で書かれていた大日経を善無畏が訳し、金剛頂経を金剛智が訳して隆盛を極め、大日経と金剛頂経の両部の教えを継承した唯一の相である恵果(けいか)から密教の奥義を学んで胎蔵界金剛界の両部灌頂を受けたただ一人の継承者となったのです。

壮大なる宇宙の設計図…曼荼羅とは

806年(大同元年)空海は密教経典142部247巻を始めとして密教法具や曼陀羅などを日本に持ち帰ることが出来ました。

真言密教の成立

狩場明神

空海が帰国して4年が経過した809年(大同4年)、空海は都入りを許されて洛北の高雄山寺に居住してその翌年には鎮護国家の修法を、そして翌々年には天台宗最澄を含む百数十人に我が国で初めての胎蔵界金剛界両部の結縁灌頂を行いました。

816年には密教の修行道場としての静寂の聖地を求めて旅に出た後、仏縁に導かれた高野山の下賜を得ました。

天空の宗教都市…高野山について

更には823年、平安京鎮護のために建てられた東寺を下賜され、真言密教の揺るぎない基礎が出来上がったのです。

大宇宙の真理を説く秘密の教え…真言密教

空海入定後の真言宗

弘法大師の入定のイラスト

空海は入定に際して弟子にそれぞれの寺院を託しました。

  • 教王護国寺…実慧
  • 金剛峯寺…真然
  • 神護寺…真済
  • 安祥寺…恵運
  • 仁和寺、醍醐寺…聖宝
  • 円成寺…益信

これらの寺院にはこれらの寺院に年分度者(国家公認の僧侶の養成制度)が許可されて真言宗は新たな方向へと進展していきます。

東寺と高野山の本末争い

東寺のイラスト

延喜19年(919年)には東寺長者の観賢が高野山金剛峰寺座主を兼ねたことで東寺を本寺とし、金剛峯寺を末寺とする本末制度が確立され、東寺長者が真言宗の実権を握り、その後の高野山は落雷による焼失などで徐々に衰退していきました。

しかし衰退してしまった高野山に藤原道長が参詣したことにより復興が進み、皇族・摂関家・公家が高野山への登山が続き、皇族・摂関家・公家などの支援により財政的にも安定したのです。

真義と古義

覚鑁上人のイラスト

弘法大師空海が確立した真言宗は教義の完成度が高いために新しい動きが無かったが、覚鑁(かくばん1095-1143)が大伝法院を創建し、更に東寺長者が高野山金剛峰寺座主を兼任する制度を廃止して金剛峯寺座主に任命されましたが、旧来勢力との抗争に巻き込まれたために根来山に隠棲しました。

これ以降金剛峯寺方と大伝法院方との派閥抗争が長く続き、金剛峯寺方は「古義真言宗」そして大伝法院方は「新義真言宗」とに分かれ、更に新義真言宗はやがて大和長谷寺(はせでら)を中心とした豊山派(ぶざんは)と、京都の智積院(ちしゃくいん)を中心とした智山派(ちざんは)とに分かれていきます。

江戸幕府の統制

寺檀制度のイラスト

江戸幕府は仏教界に対して宗教統制を敷いて寺院を統制するようになり、1604年(慶長14年)に、関東真言宗古義法度を東寺・醍醐寺・高野山学侶方に対しても出し、更に徳川家康が1615年(元和元年)7月24日、真言宗諸法度を真言宗諸本山・諸寺に対して出したことで寺壇制度が確立しました。

寺檀制度は寺院の本山、末寺を決めて全ての民衆が寺院の檀家になり、戸籍の管理などの行政機関としての機能を持つようになりました。

廃仏毀釈

廃仏毀釈のイラスト

明治維新以降に明治政府は神仏分離を推進して宮中行事における仏教行事の排除をおこなったことから廃仏毀釈の機運が高まり、全国各地で仏教寺院の弾圧、寺宝の焼却、寺領の没収などが行われたために僧籍を離れる者や神官になる者が続出し、仏教寺院の荒廃が著しく進んでしまいました。

真言宗の寺院も廃仏毀釈の影響で廃寺になったり貴重な寺宝を失ったりしましたが、二度とこのような事が起こらないようにしないといけません。

寺院や神仏像は後世に伝えるべく尊い財産です、伝統の灯を守り抜きましょう。

火を付けたり捨てたりすることは仏法に対する冒とくです。

寺社で頂いた御札や御守は頂いた寺社にお礼を添えてお還しし、焚き上げてもらいますが、これは宗教儀礼であり、捨て去ることではありません。

真言宗の本山と宗派

高野山金剛峰寺

真言宗の本山

弘法大師空海より後の真言宗は現代に至るまでに様々な宗派に分派されましたが、その本山についての詳細です。

高野山真言宗総本山 金剛峯寺

弘法大師空海によって真言密教の根本道場として建立され、現在はユネスコの世界遺産として登録、世界中からお参りの人が来る天上の宗教都市である高野山真言宗の総本山です。

  • 開祖 弘法大師空海
  • 開山 816年
  • 本尊 大日如来、弘法大師、薬師如来
  • 場所 和歌山県伊都郡高野町高野山132

東寺真言宗総本山 教王護国寺

平安京が開かれた時に桓武天皇が都の守護のために東寺、西寺を造営したのが始まりで、823年に嵯峨天皇が空海に下賜して後に真言宗寺院になりました。

  • 開山 桓武天皇
  • 開祖 弘法大師空海
  • 創設 796年
  • 本尊 金堂内薬師三尊
  • 所在 京都市南区九条町1

真言宗醍醐派総本山 醍醐寺

空海の孫弟子聖宝(しょうほう)が山上に庵を結んだのが始まりで、醍醐天皇の帰依により堂々伽藍建立、修験道の本拠地でもあります。

  • 開祖 聖宝
  • 開設 874年
  • 本尊 薬師如来
  • 所在 京都市伏見区醍醐東大路町22

真言宗御室派総本山 仁和寺

光孝(こうこう)天皇の発願で着工し次帝の宇多天皇の治世に開山し、天皇が剃髪後に入寺して御室を設けたために御室御所と呼ばれて東密寺院になりました。

  • 開山 宇多天皇
  • 開設 888年
  • 本尊 阿弥陀如来
  • 所在 京都市右京区御室大内33

真言宗大覚寺派大本山 大覚寺

空海と共に三筆の一人として有名な嵯峨天皇の離宮として創建、鎌倉時代には亀山法皇や後宇多天皇が入寺して院政を行ったので嵯峨御所と呼ばれ、この皇統は大覚寺統と呼ばれます。

  • 開基 嵯峨天皇
  • 開山 恒寂法親王
  • 開設 876年
  • 本尊 五大明王
  • 所在 京都市右京区嵯峨大沢町4

真言宗泉涌寺派総本山 泉涌寺

空海が天長年間に庵を結んで法輪寺と称したのが始まりで1242年に四条天皇の葬儀が行われてからは歴代天皇の陵墓がこの地に営まれるようになりました。

  • 開基 月輪大師俊芿(しゅんじょう)
  • 創設 天長年間(824-34)
  • 本尊 釈迦、阿弥陀、弥勒
  • 所在 京都市東山区泉涌寺山内町27

真言宗山階派大本山 勧修寺

平安時代に醍醐天皇が生母である藤原胤子(たねこ)の菩提を弔うために等身大の千手観音像をお祀りしたのが始まりと言われています。

  • 開基 承俊(しょうしゅん)
  • 創設 900年
  • 本尊 千手観音
  • 所在 京都市山科区勧修寺仁王堂町27-6

真言宗善通寺派総本山 善通寺

弘法大師空海の生誕の地であり、空海が帰朝後に恵果阿闍梨の青龍寺を模して建立した寺。

  • 開基 空海
  • 創設 807年
  • 本尊 薬師如来
  • 所在 香川県善通寺市善通寺町3-3-1

新義真言宗総本山 根来寺

覚鑁(興教大師)は大伝法院を創建し、更に東寺長者が高野山金剛峰寺座主を兼任する制度を廃止して金剛峯寺座主に任命されましたが、旧来勢力との抗争に巻き込まれたために根来山に隠棲したのが始まり。

  • 開山 覚鑁
  • 開設 1126年
  • 本尊 大日如来
  • 所在 和歌山県那賀郡岩出町根来2286

真言宗智山派総本山 智積院

豊臣秀吉の根来攻めで四散した僧のひとり玄宥(げんゆう)開山で、現在では関東の成田山新勝寺、川崎大師、高尾山薬王院などの大寺を傘下に治めています。

  • 開山 玄宥
  • 創設 1600年
  • 本尊 大日如来
  • 所在 京都市東山区塩小路通大和大路東入東瓦町964

真言宗豊山派総本山 長谷寺

飛鳥時代に天武天皇のために千仏多宝塔を西の岡の三重塔に安置したことに始まり、豊臣秀吉の根来攻めの際に智積院の玄宥らと共に落ち延びた専誉(せんよ)が入って豊山派総本山の元となりました。

  • 開創 道明(どうみょう)
  • 開山 徳道(とくどう)
  • 創設 686年
  • 本尊 十一面観音
  • 所在 奈良県桜井市初瀬731-1

真言律宗総本山 西大寺

孝謙天皇が開いた官大寺で、鎌倉時代に高野山で学んだ叡尊(えいそん)が当時途絶えていた律の復興を目指して入寺して真言律宗を開きました。

  • 開祖 孝謙天皇
  • 創設 765年
  • 本尊 釈迦如来
  • 所在 奈良県西大寺芝町1-1

真言宗室生寺派大本山 室生寺

平安時代に興福寺の僧賢璟(けんけい)が伽藍造営し、空海が再興。昭和38年豊山派から離脱。

  • 本尊 如意輪観音
  • 所在 奈良県宇陀郡室生村室生78

真言宗犬鳴派大本山 七宝滝寺

開祖は役小角(えんのおづぬ)、昭和25年高野山真言宗より独立、葛城修験道の根本道場。

  • 本尊 倶利伽羅大龍不動明王
  • 所在 大阪府泉佐野市大木8

真言宗須磨寺派大本山 須磨寺

886年光孝天皇により開基、昭和21年高野山真言宗より独立

  • 本尊 聖観音
  • 所在 兵庫県神戸市須磨区須磨寺町4-6-8

真言宗中山寺派大本山 中山寺

伝聖徳太子開基、宇多天皇が仁和寺に入ってから真言宗となり現在は独立。

  • 本尊 十一面観音
  • 所在 兵庫県宝塚市中山寺2-11-1

真言宗霊雲寺派総本山 霊雲寺

1691年に浄厳(じょうごん)が開設した関東での真言律宗の中心的存在、昭和22年独立。

  • 本尊 大日如来
  • 所在 東京都文京区湯島2-21-6

真言宗国分寺派大本山 国分寺

奈良時代に道昭(どうしょう)が孝徳天皇の菩提を弔うために建立が起源、昭和22年山階派から独立。

  • 本尊 薬師如来
  • 所在 大阪市北区国分寺1-6-18

真言宗鳳閣寺派大本山 鳳閣寺

醍醐寺を開いた聖宝が895年に金峯山修行の拠点として建立、昭和26年に醍醐派より独立。

  • 本尊 如意輪観音
  • 所在 奈良県吉野郡黒滝村大字鳥住90

真言宗金剛院派大本山 弘法寺

宗祖弘法大師の遺訓を守り役小角の秘訣を伝える、昭和28年に現在の名に変更。

  • 本尊 大白身如来
  • 所在 兵庫県揖保郡新宮町千本1657-1

真言宗大日派総本山 鑁阿寺

1196年足利義兼(よしかね)が持仏堂を構えたのが始まり、昭和26年に豊山派より独立。

  • 本尊 大日如来
  • 所在 栃木県足利市家富町2220

真言宗花山院派大本山 菩提寺

開基は651年法道(ほうどう)によります、昭和26年に御室派より独立。

  • 本尊 薬師如来
  • 所在 兵庫県三田市尼寺352

真言宗五智教団大本山 鳳来寺

703年利修(りしゅう)の開祖とされ天台宗から真言宗になり昭和29年に独立。

  • 本尊 薬師如来
  • 所在 愛知県南設楽郡鳳来町門谷鳳来1

信貴山真言宗総本山 朝護孫子寺

聖徳太子が物部氏討伐のために毘沙門天を祀ったことが始まり、昭和26年に高野山真言宗から独立。

  • 本尊 毘沙門天
  • 所在 奈良県生駒郡平群町信貴畑2280

松尾山真言宗大本山 松尾寺

718年舎人親王が建立したことが始まり、日本最古の厄除け寺、昭和58年醍醐派から独立。

  • 本尊 千手観音
  • 所在 奈良県大和郡山市山田町683

霊山寺真言宗大本山 霊山寺

736年聖武天皇の勅命で行基(ぎょうき)らが伽藍を建立したのが始まり、昭和26年高野山真言宗から独立。

  • 本尊 大弁財天
  • 所在 奈良市中町3873

真言宗石鉄派総本山 前神寺

桓武天皇が病気平癒を祈願して伽藍建立、空海も修行したとされる、昭和23年御室派から独立。

  • 本尊 阿弥陀如来、石鉄蔵王大権現
  • 所在 愛媛県西条市洲之内甲1426

新義真言宗湯殿山派大本山 注連寺

出羽三山の奥の院と言われ空海の開創の伝承あり、戦後に智山派から独立。

  • 本尊 大日如来
  • 所在 山形県東田川郡朝日村大網753掛

光明真言宗大本山 光明宝院

寺上衆宝(てらがみしゅうほう)が編み出した光明加持法で苦しみを取り除く、昭和22年山階派より独立。

  • 本尊 秘鍵大師
  • 所在 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町湯川897-15

真言密宗大本山 金剛不壊寺

真言密教の経典に依りながら世界各宗の諸経典を学び伝える、昭和24年高野山真言宗から独立。

  • 本尊 不動明王
  • 所在 富山県中新川郡上市町大岩163

真言三密宗大本山 清澄寺

比叡山の高僧静観とされ、宇多天皇より「日本第一清荒神」称号拝受、昭和21年御室派より独立。

  • 本尊 金剛界大日如来
  • 所在 兵庫県宝塚市米谷字清シ1

救世観音宗総本山 紀三井寺

770年に唐から来た為光(いこう)により開創、西国三十三観音霊場の第二番、昭和23年山階派から独立。

  • 本尊 十一面観音
  • 所在 和歌山市紀三井寺1201

その他の真言宗本山

その他の真言宗の本山の紹介と説明です。

新真言宗総本山 長栄寺

聖徳太子を開基とし本尊十一面観音を祀る、昭和21年高野山真言宗から独立。

  • 所在 大阪府東大阪市高井田元町1-11-1

石鎚山真言宗総本山 極楽寺

石鎚山信仰を基盤の修験道の道場、昭和28年に御室派から独立。

  • 所在 愛媛県西条市大保木4

真言宗九州教団本部 東長寺

空海回忌の最初の密教寺院と伝えられる、昭和23年御室派の九州の寺院を集めて独立。

  • 所在 福岡市博多区御供所町2-4

明算真言宗大本山 圓蔵院

高野山中興の祖明算(めいざん)の開山、1615年に現在地に移り、昭和21年山階派から独立。

  • 所在 和歌山市南相生町28

観音宗総本山 大聖観音寺

聖徳太子が創建に関わったと伝えられ一時は真言、天台、法相を兼ねた。昭和21年山階派から独立。

  • 大阪市住吉区我孫子4-1-20

天宗総本山 日佛寺

大日如来を祀り昭和29年に京都の大覚寺より分離し東京都南多摩郡に日佛寺を建立後、現在地に移転。

  • 所在 京都府船井郡園部町船阪大門47-1

眞言毘盧遮那宗大本山 千手時

空海と役小角を宗祖として山岳修行を重視、昭和28年高野山真言宗より独立。

  • 所在 大阪府東大阪市石切町3-3-16

真言聖天宗大本山 福田寺

空海の説を本義に聖天信仰をすすめる、昭和21年醍醐派より独立。

  • 所在 兵庫県尼崎市東園田町4-33

真言宗系の名刹、古刹

真言宗系統の名刹、古刹寺院の紹介と説明です。

真言宗豊山派大本山 護国寺

徳川五代将軍綱吉によって1681年に創建、幕府から下された寺領は創建時の9倍にも達し、江戸名物に。

  • 東京都文京区大塚5-40-1

真言宗智山派大本山 新勝寺

成田山として知られ、平安中期に平将門が天慶の乱の際に京都、神護寺の不動明王を成田に移して調伏の護摩を焚いたのが始まり。

  • 所在 千葉県成田市成田1

真言宗智山派大本山 薬王院

東京近郊の高尾山に位置し、744年に行基開創の伝承あり、修験道場としても知られる。

  • 所在 東京都八王子市高尾山2-77

真言宗智山派大本山 平聞寺

「川崎大師」の名で親しまれ、新勝寺、薬王院と共に智山派の「関東三山」を形成しています。

  • 神奈川県川崎市川崎区大師町4-48

真言律宗 極楽寺

1260年に社会奉仕での功績のあった忍性(にんしょう)にょって創建

  • 神奈川県鎌倉市極楽寺3-6-7

真言宗御室派大本山 広隆寺

飛鳥時代の有力者である秦河勝(はたのかわかつ)が聖徳太子から賜った尊像を祀ったのがはじまり。

  • 所在 京都市右京区太秦蜂岡町32

高野山真言宗別格本山 神護寺

唐から帰朝した空海は高雄山寺で修行し、その後神願寺と合併して神護寺となりました。

  • 所在 京都市右京区梅ケ畑高雄町5

真言宗系単立寺院 高山寺

774年に開設され鎌倉時代に明恵が復興、後鳥羽上皇により戒、密、禅を兼ねた寺になりました。

  • 所在 京都市右京区梅ヶ丘栂尾町8

真言宗智山派 石山寺

749年東大寺初代別当の良弁(ろうべん)が開創したとの伝承あり。

  • 所在 滋賀県大津市石山寺1-1-1

真言宗智山派 大報恩寺

1227年義空(ぎくう)によって開創、現在の本堂は創建当時のものである。

  • 京都市上京区溝前町1305

真言宗智山派 六波羅蜜寺

963年悪疫退散の願いを込めて十一面観音を本尊として開創。

  • 所在 京都市東山区轆轤町81

真言宗御室派 久米寺

空海が大日経を感得して新宗教の開示に繋がる真言宗発祥の寺。

  • 所在 奈良県橿原市久米寺502

真言律宗 宝山寺

「生駒の聖天さん」で知られる商売繁昌の寺、役小角開創の伝承あり。

  • 奈良県生駒市門前町1-1

善通寺派大本山 髄心院

991年仁海の開創、かつては真言宗18本山のひとつ。

  • 所在 京都市山科区小野御霊町

高野山真言宗 観心寺

808年空海が訪れて北斗七星を勧請し、815年には如意輪観音を自ら刻みました。

  • 所在 大阪府河内長野市寺元475

高野山真言宗 霊山寺

行基開創の伝承あり、空海が815年訪れたことから四国八十八か所霊場の第一番になりました。

  • 所在 徳島県鳴門市大麻町板東霊山寺126

真言宗大覚寺派 大窪寺

四国霊場結願の寺、空海が薬師如来を刻み錫杖を納めて堂宇を建立したのがはじまり。

  • 所在 香川県大川郡長尾町多和兼割96

真言宗系の新宗教

真言宗に影響を受けた新宗教の紹介と説明

真如苑

伊藤真乗は家伝の易学と成田山新勝寺の不動明王信仰を融合させて立照閣を結社、後の真如苑に。

  • 創始 伊藤真乗
  • 開設 昭和26年
  • 所在 東京都立川市柴﨑町1-2-13

解脱会

大病を患った岡野聖憲が丹沢山中で修行を重ね埼玉県北本宿村で立教、真言宗泉涌寺をバックアップした。

  • 創始 岡野聖憲
  • 開設 昭和4年
  • 所在 東京都新宿区荒木町4

身語正系教団

木原松太郎は高野山で得度の後に覚恵の法名を受けて高野山麓の瀧光徳寺を中心に九州高野山として宗教活動。

  • 一切宗
  • 光明念仏身語聖宗
  • 身語正宗
  • 中山身語正宗
  • 八宗兼学真修教
  • 肥州高野山真心言宗
  • 密厳宗

卍教団

福岡の真言宗系の寺で生まれた真木応瑞は、全仏教宗派を解体して釈迦の原点に還れと教団を設立。

  • 開設 真木応瑞
  • 所在 福岡県久留米市西町新金丸830

真言宗神道派

神仏習合を説いた空海の教えに還れと説き、護摩祈祷に力を入れる。

  • 開設 藤井南州
  • 所在 静岡県沼津市東原大林556-1

真言とは

真言のイラスト

真言宗の「真言」とは古代インド語のサンスクリット語でマントラ(Mantra)と言われる言葉で、「真実の言葉、秘密の言葉」という意味です。

真言の役割

真言

大宇宙の原理や成り立ちは私達人間の言葉による理解を超えた領域にあり、真言は大宇宙の真理を音で表現したもので、真言の力によって悟りを体得することが出来るのです。

真言の行者は身口意の修行によって、つまり身体で印を結びと口で真言を唱え、心で大日如来を観想することによって即身成仏に近づくのです。

曼荼羅の世界の仏にはそれぞれに対応した真言があり、宗教的な所作を行うにしても真言を唱え、観想します。

真言は実際の生活にとても役に立ちます…真言とは

光明真言

大日如来

真言宗で最も多用されるのが光明真言であり、大宇宙の大いなる光明の力を頂き、過去の罪障を消したり、死者の供養のために唱えられます。

オン・アボキャ・ベイロシャノウ・マカボダラ・マニ・ハンドマ・ジンバラ・ハラバリタヤ・ウン

光明真言はたとえ意味が分からなくともそのまま唱えることに意義があり、繰り返し唱えることが大切です。

光明真言は悟りの道の第一歩…光明真言とは

真言宗の勤行

真言宗の勉強がしたい、知りたい、体験したいという方には写経瞑想法など様々な修行法がありますが、在家出家に関わらず毎日行うものとして勤行、おつとめがあります。

やすらか庵では誰でも気軽に始めることが出来るようにと無料でダウンロードできる勤行の次第を作製致しました。

高野山真言宗の朝晩のおつとめ…高野山真言宗の勤行の仕方、お経、次第無料ダウンロード

真言宗勤行の仕方

真言宗のご本尊は大日如来と言うことが多いですが、ご自分と縁のある神仏で構いませんし、御本尊か掛け軸があればその前で、お仏壇があればその前で、灯明と線香をあげて行います。

真言宗の勤行は真言(マントラ)が多いですから、その唱える数は次のようになります。

合掌礼拝~開経偈般若心経懺悔(3回唱える)~三帰(3回唱える)~三竟 (3回唱える)~十善戒(3回唱える)~発菩提心(3回唱える)~三昧耶戒(3回唱える)~十三仏真言(それぞれ3回唱える)~光明真言(7回唱える)~南無大師遍照金剛(7回唱える)~大金剛輪陀羅尼~回向

勤行式次第

☆開経偈

無上甚深微妙法 [むじょうじんじん みみょうほう]
百千万劫難遭遇 [ひゃくせんまんごう なんそうぐう]
我今見聞得受持 [がこんけんもん とくじゅじ]
願解如来真実義 [がんげにょらい しんじつぎ]

☆般若心経

仏説摩訶般若波羅蜜多心経 [ぶっせつ まか はんにゃ はらみた しんぎょう]

觀自在菩薩 [かんじざいぼさ]
行深般若波羅蜜多時 [ぎょうじんはらみたじ]
照見五蘊皆空 度一切苦厄 [しょうけんごうんかいどいっさいくやく]
舍利子 [しゃりし]
色不異空 [しきふいくう]
空不異色 [くうふいしき]
色即是空 [しきぞくぜくう]
空即是色 [くうそくぜしき]
受想行識 [じゅそうぎょうしき]
亦復如是 [やくぶにょぜ]
舍利子 是諸法空相 [しゃりしぜしょほうくうそう]
不生不滅 [ふしょうふめつ]
不垢不淨 [ふくふじょう]
不増不減 [ふぞうふげん]
是故空中 無色 無受想行識 [ぜこくうちゅうむしきむじゅそうぎょうしき]
無眼耳鼻舌身意 [むげんにびぜっしんに]
無色聲香味觸法 [むしきしょうこうみそくほう]
無眼界 [むげんかい]
乃至無意識界 [ないしむいしきかい]
無無明 [むむみょう]
亦無無明盡 [やくむむみょうじん]
乃至無老死 亦無老死盡 [ないしむろうしやくむろうしじん]
無苦集滅道 [むくしゅうめつどう]
無智亦無得 [むちやくむとく]
以無所得故 [いむしょとっこ]
菩提薩埵 [ぼだいさった]
依般若波羅蜜多故 [えはんにゃはらみったこ]
心無罣礙 無罣礙故 [しんむけげむけげこ]
無有恐怖 遠離一切顛倒夢想 [むうくふおんりいっさいてんどうむそう]
究竟涅槃 [くぎょうねはん]
三世諸佛 [さんぜしょぶつ]
依般若波羅蜜多故 [えはんにゃはらみったこ]
得阿耨多羅三藐三菩提 [とくあのくたらさんみゃくさんぼだい]
故知般若波羅蜜多 [こちはんにゃはらみた]
是大神咒 [ぜだいじんしゅ]
是大明咒是無上咒 [ぜだいみょうしゅぜむじょうしゅ]
是無等等咒 [ぜむとうどうしゅ]
能除一切苦 眞實不虚 [のうじょいっさいくしんじつふこ]
故説般若波羅蜜多咒即説咒曰 [こせつはんにゃはらみたしゅうそくぜしゅわつ]
掲帝 掲帝 般羅掲帝 般羅僧掲帝 菩提僧婆訶 [ぎゃていきゃていはらぎゃていはらそうぎゃていぼじそわか]
般若心經 [はんにゃしんぎょう]

☆懺悔(三反)

我昔所造諸悪業 [がしゃくしょぞう しょあくごう]
皆由無始貪瞋痴 [かいゆむし とんじんち]
従身語意之所生 [じゅうしんごい ししょしょう]
一切我今皆懺悔 [いっさいがこん かいさんげ]

☆三帰(三反)

弟子某甲[でしむこう]
盡未来際[じんみらいさい]
帰依仏[きえぶつ]
帰依法[きえほう]
帰依僧[きえそう]

☆三竟(三反)

弟子某甲 [でしむこう]
盡未来際 [じんみらいさい]
帰依仏竟 [きえぶっきょう]
帰依法竟 [きえほうきょう]
帰依僧竟 [きえそうきょう]

☆十善戒(三反)

弟子某甲 [でしむこう]
盡未来際 [じんみらいさい]
不殺生 [ふせっしょう]
不偸盗 [ふちゅうとう]
不邪淫 [ふじゃいん]
不妄語 [ふもうご]
不綺語 [ふきご]
不悪口 [ふあっく]
不両舌 [ふりょうぜつ]
不慳貪 [ふけんどん]
不瞋恚 [ふしんに]
不邪見 [ふじゃけん]

☆発菩提心(三反)

おんぼうじ しった ぼだはだやみ

☆三昧耶戒(三反)

おん さんまや さとばん

☆十三仏真言(三反)

一、不動明王(ふどうみょうおう)

のうまく さんまんだ ばざらだんかん

二、釈迦如来(しゃかにょらい)

のうまく さんまんだ ぼだなん ばく

三、文殊菩薩(もんじゅぼさつ)

おん あらはしゃ のう

四、普賢菩薩(ふけんぼさつ)

おん さんまや さとばん

五、地蔵菩薩(じぞうぼさつ)

おん かかかび さんまえい そわか

六、弥勒菩薩(みろくぼさつ)

おん まい たれいや そわか

七、薬師如来(やくしにょらい)

おん ころころ せんだり まとうぎ そわか

八、観音菩薩(かんのんぼさつ)

おん あろりきゃ そわか

九、勢至菩薩(せいしぼさつ)

おん さんざんさく そわか

十、阿弥陀如来(あみだにょらい)

おん あみりた ていせい から うん

十一、阿閦如来(あしゅくにょらい)

おん あきしゅびや うん

十二、大日如来(だいにちにょらい)

おん あびらうんけん ばざら だとばん

十三、虚空蔵菩薩(こうくうぞうぼさつ)

のうぼう あきゃしゃ きゃらばや おん ありきゃ まりぼり そわか

☆光明真言(七反)

おん あぼきゃ べいろしゃのう まかぼだら まに はんどま じんばら はらばりたや うん

☆御宝号(七反)

南無大師遍照金剛 [なむだいしへんじょうこんごう]

☆大金剛輪陀羅尼

のうまく しっちりや ぢびきゃなん たたぎゃたなん あん びらじ びらじ まかしゃきゃら ばじり さたさた さらてい さらてい たらい たらい びだまに さんばんじゃに たらまちしった ぎりやたらん そわか

☆回向

願以此功徳 [がんにしくどく]
普及於一切 [ふぎゅうおいっさい]
我等与衆生 [がとうよしゅじょう]
皆共成仏道 [かいぐじょうぶつどう]