金剛界曼荼羅

金剛界曼荼羅とは

真言密教では宇宙の根源である大日如来の現れ方を大日経を元に描かれた胎蔵界曼荼羅と金剛頂経を元に描かれた金剛界曼荼羅に表現されており、金剛界曼荼羅は大日如来の「智」の世界を表現しています。

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金剛界曼荼羅の構成

金剛界曼荼羅

胎蔵界曼荼羅が中央の大日如来の慈悲が放射状に拡がっていく様子を表していたのに対し、金剛界曼荼羅は9つのブロックの仏が「の」の字の渦巻状になっていて、時計回りに廻るのが悟りを開いた仏が民衆の元に下って行って教えを説く道筋を表し、反時計回りに廻るのが凡夫が悟りに向かう道筋を表しているのです。

成身会

成身会

成身会は大日如来を中心として東西南北に大日如来の四つの智慧を表す阿閦如来宝生如来阿弥陀如来、不空成就如来が配置され、行者の智慧が真理に目覚めていく過程を表しています。

三昧耶会

三昧耶会

構図的には成身会と同じですが、諸尊の代わりに三昧耶形で表されています。三昧耶形とは金剛杵などの仏像の持ち物のことで、仏の性質を表すシンボルとなります。

微細会

微細会

構図は三昧耶会と同じで金剛杵の中に庶孫が描かれていますが、庶孫の光背と台座が金剛杵になっていて、金剛杵は大日如来の叡智の象徴であり、金剛杵という小宇宙の中に金剛智を有する諸尊が配置されています。

供養会

供養会

微細会と同じ構図ですが、五仏を除く三十二菩薩の全てが合掌して蓮華を持つところから供養会と呼ばれます。

四印会

四印会

中央に大日如来を、その周りに金剛薩埵(こんごうさった)、金剛宝(こんごうほう)、金剛法(こんごうほう)、金剛業(こんごうごう)を配置する姿は、成身会から供養会までの内容を簡素にダイナミックに表しています。

一印会

一印会

月輪(がちりん)を表す大白円光内に金剛界大日如来のみを表し、大日如来の金剛智を表しています。

理趣会

理趣会

円形の並び方では無くて上中下三段ずつの並び方で中央には大日如来の変化身である金剛薩埵(こんごうさった)を配置し、その四方には欲(よく)、触(しょく)、愛(あい)、慢(まん)の四金剛を、その間には四金剛の妃を配置しています。

降三世会

降三世会

構図としては三昧耶会、微細会、供養会と同じですが、金剛薩埵が降三世明王に返信している所が違います。

これは凶暴な諸天の鎮圧に諸如来が困窮していた際に、最後まで服従しなかったとされる大自在天と烏摩妃(うまひ)を、金剛薩埵が降三世明王に変身して降伏させてことによります。

降三世三昧耶会

降三世三昧耶会

降三世三昧耶会の諸尊を三昧耶形で表しています。

金剛界曼荼羅の役割

金剛界曼荼羅はダイヤモンドのように永遠に壊れることの無い硬い悟りの心を表します。

修行論として

金剛界曼荼羅の9つに分けられた部分の中でも中心にある成身会の37尊は「金剛界37曼荼羅」とも言われ、金剛界曼荼羅の内容の基本となります、これを瞑想することにより大日如来の慈悲を体得します。

宇宙とつながる

金剛界は宇宙に於ける仏の慈悲の拡がりを示すもので、胎蔵界曼荼羅と共に、宇宙の真理と大日如来の大いなる慈愛につながるための設計図であり、読み解くための道しるべとなるのです。