高野山真言宗の勤行

高野山真言宗の勤行

真言宗では多くの宗派がありますが、勤行の基本は共通していており、ここでは高野山真言宗の勤行を紹介いたします。

真言宗の勤行は毎日続ける読経供養修行で、自らの修行のため、或いは他を利するため、或いは亡き人の供養のためなどの目的を持って行います。

唱えると共に自らの行いを反省し、正しい方向に向かうための礎として心に刻みます。

勤行とは

懺悔のイラスト

勤行とは神仏や先祖に対する祈りであり、自らの魂を浄化するための修行でもあります。

勤行に説かれていることを実践するだけで仏教的な生活が出来るようになっています。

難しい理論や経典を学ばなくても、誰にでも分かる仏教の基本を濃縮されているのが勤行なのです。

勤行を毎日実践すれば価値観が変わり、生活がとても豊かになります。

勤行を毎日実践すれば善悪の判断が正しく出来るようになり、平和を愛する穏やかな人間になり、人から信頼されるようになります。

目に見えない神仏や先祖の加護を得て魂の交流をすると共に、自らの魂のレベルを引き上げることによって、真実の世界に少しでも近づき、日常生活の中で正しい判断と実践をするための基本になります。

勤行の仕方

勤行とは毎日行うものであり、自分や亡き人の功徳にもなり、自らの行動の指標を見出し、仏教の実践を行う上で必要な日課です。

服装は普段着で構いませんので毎日続けることが大切です。

経を読む「読経」が基本であり、一人で行っても良いですし、家族などの複数の人数で行っても良いのです。

勤行の時間は

勤行の時間について

一日一回だけのお勤めでしたら朝に行うのが理想です。

朝は陽が昇る勢いのある時間で、宇宙のエネルギーを吸収しやすい時間なのです。

しかし朝に時間が取れない人でしたら夜に行っても構いません。

大切な事は毎日続けることなのです。

勤行は毎朝決まった時間に行うことが好ましく、朝起きて服を着替えて身支度を整えてから朝食を食べる前に行いましょう。

所要時間としては5分~10分程度で終わりますが、般若心経の回数を増やしたり瞑想の時間を加えてみたりと自由にアレンジして頂いて構いません。

必要な物

数珠と輪袈裟

何も持たなくても座って合掌すればお勤めが出来ます。

数珠があれば左腕に掛けて輪袈裟があれば首から掛けます。

御本尊様や祭壇があれば燈明を灯して香を焚き、正座するか椅子に座っても構いません。

ご先祖様の仏壇でお勤めされる方もたくさん居られます。

勤行の場所

真言宗のお勤めに必要な物

勤行する場所としては祭壇、仏壇などの前で行います。

祭壇は御本尊をお迎えするのでしたら大日如来の仏像か掛け軸があれば良く、更には不動明王と真言宗の開祖である弘法大師の三尊形式が揃えば立派な真言宗の祭壇になります。

勤行から学ぶこと

勤行から学ぶこと

勤行には私達の生活の指標や仏様の智慧が込められていますので、私達が悩んだり苦しんでいる時に解決へと導いてくれますし、目標を見失った時にでも明確な目標を示してくれます。

例えば十善戒の中に説かれている不殺生は生き物を殺してはいけません、命を大切にしましょう、命を慈しみましょう、不偸盗は人の物を盗まない、盗もうとしない、困った人に施しましょう、などの大切な仏教的生活の智慧が書かれているのです。

仏法は真実の幸せを説く教えです、魂の流転の中で人として生まれることすら困難なことなのに、仏法に出会うようなことは更に困難なことです。

私達は今仏法を学び、実践できるチャンスを与えてもらっているのですから、二度とないチャンスかもしれません、御縁を大切にしましょう。

勤行は仏法を凝縮したものですから仏法の真髄を学ぶことが出来ると共に、勤行を毎日続けることが修行になるのです。

仏法を学びたいけれど何をしたら良いのか分からないという人にとって、勤行に説いてあることだけ実践すれば、それだけで一生のテーマになりますし、更には自分が生まれてきた意義や自分に与えられた使命までも分かってくるのが勤行なのです。

勤行の式次第

大日如来

真言宗の勤行の式次第は次の通りで、ある程度の時間が必要になりますので、時間が取れない場合には光明真言から後を唱えるだけでも構いませんし、本当に時間が無ければ合掌礼拝だけでも構いません。

逆に時間が取れる場合には般若心経を何回もループさせて唱えたら良いと思います。

合掌礼拝~開経偈~般若心経~懺悔(3回唱える)~三帰(3回唱える)~三竟 (3回唱える)~十善戒(3回唱える)~発菩提心(3回唱える)~三昧耶戒(3回唱える)~十三仏真言(それぞれ3回唱える)~光明真言(7回唱える)~南無大師遍照金剛(7回唱える)~大金剛輪陀羅尼~回向

般若心経は通常の勤行では1回唱えますが、何回唱えても構いません。

般若心経について詳しく…般若心経の意味と訳、唱え方、無料ダウンロード


開経偈

無上甚深微妙法 [むじょうじんじん みみょうほう]
百千万劫難遭遇 [ひゃくせんまんごう なんそうぐう]
我今見聞得受持 [がこんけんもん とくじゅじ]
願解如来真実義 [がんげにょらい しんじつぎ]

般若心経

仏説摩訶般若波羅蜜多心経 [ぶっせつ まか はんにゃ はらみた しんぎょう]

觀自在菩薩 [かんじざいぼさ]
行深般若波羅蜜多時 [ぎょうじんはらみたじ]
照見五蘊皆空 度一切苦厄 [しょうけんごうんかいどいっさいくやく]
舍利子 [しゃりし]
色不異空 [しきふいくう]
空不異色 [くうふいしき]
色即是空 [しきぞくぜくう]
空即是色 [くうそくぜしき]
受想行識 [じゅそうぎょうしき]
亦復如是 [やくぶにょぜ]
舍利子 是諸法空相 [しゃりしぜしょほうくうそう]
不生不滅 [ふしょうふめつ]
不垢不淨 [ふくふじょう]
不増不減 [ふぞうふげん]
是故空中 無色 無受想行識 [ぜこくうちゅうむしきむじゅそうぎょうしき]
無眼耳鼻舌身意 [むげんにびぜっしんに]
無色聲香味觸法 [むしきしょうこうみそくほう]
無眼界 [むげんかい]
乃至無意識界 [ないしむいしきかい]
無無明 [むむみょう]
亦無無明盡 [やくむむみょうじん]
乃至無老死 亦無老死盡 [ないしむろうしやくむろうしじん]
無苦集滅道 [むくしゅうめつどう]
無智亦無得 [むちやくむとく]
以無所得故 [いむしょとっこ]
菩提薩埵 [ぼだいさった]
依般若波羅蜜多故 [えはんにゃはらみったこ]
心無罣礙 無罣礙故 [しんむけげむけげこ]
無有恐怖 遠離一切顛倒夢想 [むうくふおんりいっさいてんどうむそう]
究竟涅槃 [くぎょうねはん]
三世諸佛 [さんぜしょぶつ]
依般若波羅蜜多故 [えはんにゃはらみったこ]
得阿耨多羅三藐三菩提 [とくあのくたらさんみゃくさんぼだい]
故知般若波羅蜜多 [こちはんにゃはらみた]
是大神咒 [ぜだいじんしゅ]
是大明咒是無上咒 [ぜだいみょうしゅぜむじょうしゅ]
是無等等咒 [ぜむとうどうしゅ]
能除一切苦 眞實不虚 [のうじょいっさいくしんじつふこ]
故説般若波羅蜜多咒即説咒曰 [こせつはんにゃはらみたしゅうそくぜしゅわつ]
掲帝 掲帝 般羅掲帝 般羅僧掲帝 菩提僧婆訶 [ぎゃていきゃていはらぎゃていはらそうぎゃていぼじそわか]
般若心經 [はんにゃしんぎょう]

懺悔(三反)

我昔所造諸悪業 [がしゃくしょぞう しょあくごう]
皆由無始貪瞋痴 [かいゆむし とんじんち]
従身語意之所生 [じゅうしんごい ししょしょう]
一切我今皆懺悔 [いっさいがこん かいさんげ]

三帰(三反)

弟子某甲[でしむこう]
盡未来際[じんみらいさい]
帰依仏[きえぶつ]
帰依法[きえほう]
帰依僧[きえそう]

三竟(三反)

弟子某甲 [でしむこう]
盡未来際 [じんみらいさい]
帰依仏竟 [きえぶっきょう]
帰依法竟 [きえほうきょう]
帰依僧竟 [きえそうきょう]

十善戒(三反)

弟子某甲 [でしむこう]
盡未来際 [じんみらいさい]
不殺生 [ふせっしょう]
不偸盗 [ふちゅうとう]
不邪淫 [ふじゃいん]
不妄語 [ふもうご]
不綺語 [ふきご]
不悪口 [ふあっく]
不両舌 [ふりょうぜつ]
不慳貪 [ふけんどん]
不瞋恚 [ふしんに]
不邪見 [ふじゃけん]

発菩提心(三反)

おんぼうじ しった ぼだはだやみ

三昧耶戒(三反)

おん さんまや さとばん

十三仏真言(三反)

一、不動明王(ふどうみょうおう)

のうまく さんまんだ ばざらだんかん

二、釈迦如来(しゃかにょらい)

のうまく さんまんだ ぼだなん ばく

三、文殊菩薩(もんじゅぼさつ)

おん あらはしゃ のう

四、普賢菩薩(ふけんぼさつ)

おん さんまや さとばん

五、地蔵菩薩(じぞうぼさつ)

おん かかかび さんまえい そわか

六、弥勒菩薩(みろくぼさつ)

おん まい たれいや そわか

七、薬師如来(やくしにょらい)

おん ころころ せんだり まとうぎ そわか

八、観音菩薩(かんのんぼさつ)

おん あろりきゃ そわか

九、勢至菩薩(せいしぼさつ)

おん さんざんさく そわか

十、阿弥陀如来(あみだにょらい)

おん あみりた ていせい から うん

十一、阿閦如来(あしゅくにょらい)

おん あきしゅびや うん

十二、大日如来(だいにちにょらい)

おん あびらうんけん ばざら だとばん

十三、虚空蔵菩薩(こうくうぞうぼさつ)

のうぼう あきゃしゃ きゃらばや おん ありきゃ まりぼり そわか

光明真言(七反)

おん あぼきゃ べいろしゃのう まかぼだら まに はんどま じんばら はらばりたや うん

御宝号(七反)

南無大師遍照金剛 [なむだいしへんじょうこんごう]

大金剛輪陀羅尼

のうまく しっちりや ぢびきゃなん たたぎゃたなん あん びらじ びらじ まかしゃきゃら ばじり さたさた さらてい さらてい たらい たらい びだまに さんばんじゃに たらまちしった ぎりやたらん そわか

回向

願以此功徳 [がんにしくどく]
普及於一切 [ふぎゅうおいっさい]
我等与衆生 [がとうよしゅじょう]
皆共成仏道 [かいぐじょうぶつどう]


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勤行の前半です…真言宗勤行その1

真言宗勤行その1

勤行の後半です…真言宗勤行その2

真言宗勤行その2