千手観音とは
千手観音とは観音菩薩の変化身の一つで衆生の苦しみを千の慈眼で見て、その苦しみから千の慈手で救うという観音で、六観音の一尊です。
六観音とは
六道と観音菩薩との関係は
千手観音は千の手に多くの持物を持ち、物に飢えた餓鬼界での救済を担当しています。
千手観音の特徴
千手観音には千の手と千の眼があり、衆生の苦しみをよく見て多くの手で救いあげることが大きな特徴で、仏像は四十二臂と頭上に十一或いは二十七面をつけて額にも眼があります。
千手観音の持物
千手観音の仏像は実際に千本の手を持つことがありますが、42本という事が多く、胸の前で合掌している手の他の40本の手がそれぞれに25の世界の衆生を救うことから、40と25を掛け合わせた千が千手観音の由来であるとも言われています。
「覚禅鈔」(かくぜんしょう)によると二つの手を合わせた合掌と宝鉢の他に次のような持物を持ちます
- 日精摩尼(にっせいまに)…日光菩薩が持つ暗闇を照らす法具で三本足のカラスの描かれた珠
- 化仏(けぶつ)…阿弥陀如来のこと
- 寶螺(ほうら)…悪神を祓うための音をだす法螺貝
- 宮殿(きゅうでん)…天界、浄土の宮殿
- 金輪(こんりん)…煩悩を打ち砕く
- 五色雲(ごしきうん)…仏の智慧の象徴
- 赤蓮華(れんげ)…悟りを開く慈悲の象徴
- 宝鐸(ほうたく)…美しい音を奏でる楽器
- 玉環(ぎょっかん)…良い縁を授けてくれる環
- 戟鞘(げきしょう)…仏敵を追い払うための武器
- 宝剣(ほうけん)…邪悪を断ち切る
- 髑髏(どくろ)…悪魔を降伏させるための法具
- 白払(びゃくほつ)…煩悩を祓うためのはたきの形をした法具
- 白蓮華…修行中の菩薩
- 宝弓(ほうきゅう)…良縁を射止めるための弓矢
- 鍕持(くんじ)…功徳の水が中に入っています
- 榜棑(ぼうひ)…魔を追い払うための盾
- 羂索(けんじゃく)…悪人を捉えるための縄
- 鉄鉤(てっこう)…先端が尖って直角に曲がった武器
- 錫杖(しゃくじょう)…魔を祓うための地蔵菩薩が持つ法具
- 月精摩尼(げっせいまに)…月光菩薩の持物で熱や毒を消す
- 頂上化仏…阿弥陀仏
- 宝鏡(ほうきょう)…広大な智慧を得るための鏡
- 宝珠(ほうじゅ)…災いを取り払い福を与える
- 跋折羅(ばざら)…煩悩を打ち砕く金剛杵のこと
- 青蓮華…極楽浄土の象徴
- 宝篋(ほうきょう)…宝を授けるための箱
- 宝経(ほうきょう)…経典の智慧
- 蒲桃(ぶどう)…五穀豊穣の実り
- 金剛杵(こんごうしょ)…仏敵を追い払うための武器
- 鉄斧(てっふ)…役人の災難から逃れる
- 宝印(ほういん)…優れた説法が出来る
- 楊柳(ようりゅう)…病を治す
- 宝箭(ほうせん)…良き縁を射止めるための矢
- 紫蓮華…観音菩薩の慈悲と智慧の象徴
- 施無畏印(せむいいん)…何も畏れることの無い安心を授ける印
- 胡瓶(こへい)…注ぎ口が鳥の形をした水差し
- 数珠(じゅず)…百八の煩悩を消し去る
千手菩薩の真言
千手観音の真言は
オン バザラ タラマ キリク
唱える回数は3回、7回、21回、108回、千の手に対して1回ずつの千回など、状況に応じて使い分けします。
千手観音の功徳
千手観音の功徳は持物の一つ一つで表されているので、千の功徳があります。