金剛杵とは

金剛杵とは

金剛杵とはサンスクリット語でヴァジュラ(vajra)と言い、インドの神話では神々の武器であったものを、煩悩を滅ぼすための法具に発展したもので、我が国では真言宗、天台宗、禅宗などで用いられます。

金剛杵の由来

インドラ神のイラスト

サンスクリット語でヴァジュラ(vajra)と言われるものは、インドラ神の下す雷電のことであり、やがてこの言葉は一般化して「堅固な物」、「ダイヤモンドよりも硬いもの」、「力強いもの」という意味で使われて、インドラ神の武器のことを指すようになり、金剛杵と呼ばれるようになりました。

マハーバーラタの神話では

マハーバーラタより蛇神

ヴリトラと言われる蛇の形をした悪魔の首領が悪事を繰り返して世の中が乱れたので、インドラ神(帝釈天)はブラフマー(梵天)に討伐の相談をしたところ、ダディーチャという仙人に彼の骨をくれるように頼めば、自らの身を捨てて骨をくれるので、その骨でヴァジュラ(金剛杵)を作って戦うように言われました。

インドラ神はブラフマーの言う通りにダディーチャという仙人を訪ねて骨をくれるように頼んだところ、快く引き受けて息を引き取ったので、骨を取り出して、トヴァシュトリ(工巧神)に頼んでヴァジュラ(金剛杵)を作り出し、インドラ神はそのヴァジュラでヴリトラを粉砕して勝利したのです。

金剛杵の形

金剛杵とは

金剛杵は左右対称のものや、左右の形状が違うもの、装飾が施されたものなど多くの種類があります。

  • 独鈷杵(どっこしょ)…槍状の刃が柄の上下に一つずつ付く
  • 三鈷杵(さんこしょ)…刃が三本に分かれたもの
  • 三鈷剣(さんこけん)…中央の刃だけが他の2本に比べて長い
  • 五鈷杵(ごこしょ)…中央の刃の周囲に四本の刃が付く
  • 七鈷杵(ななこしょ)…中央の刃の周囲に六本の刃が付く
  • 九鈷杵(きゅうこしょ)…中央の刃の周囲に八本の刃が付く
  • 宝珠杵(ほうじゅしょ)…柄の上下に如意宝珠が付く
  • 宝塔杵(ほうとうしょ)…柄の上下に宝塔が付く
  • 鬼面金剛杵…柄に鬼の顔の飾りが付く
  • 金錍(こんべい)…独鈷杵の両端に宝珠が付く
  • 羯磨(かつま)…二つの金剛杵を十字に組み合わせたもの
  • 輪鈷杵(りんこしょ)…二つの金剛杵を十字に組み合わせ輪にしたもの
  • 金剛鈴(こんごうれい)…片側に鈴が付き、五鈷鈴・三鈷鈴・独鈷鈴・宝珠鈴・塔鈴あり
  • 割五鈷杵(わりごこしょ)…縦に二分割できる五鈷杵で、中心に仏舎利を入れる

金剛杵を持つ諸仏

金剛杵や武器、法具を持つ諸仏のご紹介です。

帝釈天(インドラ)

須弥山の頂上・忉利天の善見城(喜見城)に住むとされます。

東寺の帝釈天
教王護国寺の帝釈天

執金剛神(ヴァジュラパーニ)

仏教の護法善神であり、金剛杵を持って仏法を守護します

執金剛神

金剛力士(ヴァジュラダラ、仁王)

仏教の護法善神であり、開口の阿形(あぎょう)像と、口を結んだ吽形(うんぎょう)像の2体を一対として寺院の門などに祀られて外敵を防ぐ役目をしています。

金剛力士、仁王

伐折羅大将(ヴァジュラ、十二神将の一)

伐折羅大将は十二神将と言われる薬師如来を守護する十二の天として、ヴァジュラとも言われるように、金剛杵を持って仏法の守護をしています。

伐折羅大将

金剛夜叉明王

元々は人を襲って食べるという凶悪な鬼神だったのが、仏法に帰依して仏教の守護神五大明王の一角を占める仏になりました。

金剛夜叉明王

他には

愛染明王
制多迦童子