風の神

医学がまだ発展していない江戸時代には、悪い神が人々に悪さをして回ることで病気になると考えられていて、病気を治すには祈祷や追儺によって追い払うことによって治るものとされていました。

江戸時代後期の桃山人著作の「絵本百物語」は様々な妖怪が描かれていますが、その中でも巻5第39に出てくる「風の神」は病気を撒き散らす神として有名です。

風の神の説明には「風に乗って様々な所を歩き、人を見れば口から黄色い風を吹きかける。その風に当たれば必ず流行り病や傷寒を患うことになるということだ」とあり、口から黄色い風を吹き出している様子が描かれています。

今時は風邪をひいたら病院に行っても良し、病院が開いていなければ24時間開いている薬局に行って風邪薬を買っても良しで、風の神が恐れられることは無くなりましたが、江戸時代でしたらヤブ医者にかかって変な漢方薬を飲まされるか、民間療法の手当てをするか、祈祷師に祈祷してもらうしか無かったことを思えば、今の豊かな時代に生まれたことに感謝しなければいけません。

とは言え新型コロナも原因不明、特効薬無しの状態で暴れ回っていることを思えば、風の神の仕業かもしれませんので、今はあまり外出をせずにうがい手洗いなどをまめに行いましょう。

風の神は皆が騒ぐと大喜びして暴れまわりますが、誰も相手にしなくなったら自然と居なくなってしまいますので、あまり騒ぎすぎる事は良くありません。