疱瘡神

月岡芳年画『新形三十六怪撰』より「為朝の武威痘鬼神を退く図」では、源為朝が子供を背負って逃げる老婆を追いかける疱瘡神を追い払っている画で、特に子供が天然痘を患いやすいことから、疱瘡を患った子を持つ親たちの、強い為朝に疱瘡神を倒してほしいという願望を表現した画であると言われています。

疱瘡神は致死率の極めて高い天然痘を撒き散らすという神であり、恐ろしい病気である天然痘を撒き散らすこともするが、神様として丁重にもてなせば天然痘を遠ざけてくれるという神です。

要するに恐ろしい病気を撒き散らすことが本業の荒ぶる神ではあるが、神としてもてなせば鎮まるということで、疱瘡神を祭神として祀ったり、御札を貼ったりすることが流行しました。

疱瘡神は老人や鬼などの様々な姿で描かれ、天然痘にかかった人が赤い発疹が出ることや、赤は魔よけの色であることから赤い服を着た姿で描かれることが多いことが特徴です。

今は新型コロナの流行で国を挙げての自粛ムードですが、このような事態になれば皆が仕事や生活に支障をきたし、ただでさえ不況の世の中で、自粛が長引けば企業倒産や破産の嵐になります。

疫病神は病気を流行らせることと社会を混乱されることが大きな役目であり、社会が混乱して争いが起これば大いに喜びます。

こういった非常時には皆が穏やかでいることが出来ずに、怒りの心に支配されてしまいます。

私達は病気にならないように気を付ける事と病気になっても暗い心にならない事、そして怒りの心に支配されない事に気を付けて、疫病神の罠にかからないようにしましょう。