目次
遍知院とは
遍知院は胎蔵界曼荼羅の上部である東に配置され、如来の智慧としての燃え盛る三角の印を中心として、諸仏を生み出す母性としての院です。
遍知院の場所
遍知院は胎蔵界曼荼羅のに於いて中台八葉院の上、東の位置にあります。
遍知院の構造
如来の智慧としての一切如来智印を中心として、一切如来の母である仏眼仏母、倶胝仏母、普賢延命菩薩と、菩薩の徳を表す大勇猛菩薩、更に一切如来智印の上には小さな尊像として拝火教から釈迦に帰依した優楼頻羅迦葉と伽耶迦葉が配置されています。
遍知院の仏たち
遍知院には如来の智慧としての一切如来智印と四菩薩、そして二迦葉が配置されますが、その仏たちの解説です。
一切如来智印
胎蔵界曼荼羅での一切如来智印は中央の中台八葉院のすぐ上、東側の遍智院の中央に位置されます。
☆一切如来智印の特徴
一切如来智印は蓮華座の上に座している如来の姿では無くて、三角形のシンボルとその中に逆卍があるのが特徴です。三角形は炎の象徴であり、燃え盛る智慧の象徴です、一切諸仏の教えが普く流出する印であり諸仏を生ずる印でもあります。
☆一切如来智印の梵名
sarvatathāgatajñānamahāmudrā サルヴァタターガタジュニャーナマハームドラー
すべての如来の智の表象たる大いなる印という意味です。
☆一切如来智印の印
シンボルなので印は無いかもしれません
☆一切如来智印の真言
真言…ナウマクサンマンダボダナン・サラバボダ・ボウヂサトバ・カリダヤ・ネイヤベイシャニ・ナウマク・サラバビデイ・ソワカ
四菩薩
一切如来智印の左右に位置する菩薩で、仏眼仏母、倶胝仏母、普賢延命菩薩、大勇猛菩薩の四菩薩です。
仏眼仏母
胎蔵界曼荼羅での仏眼仏母は中央の中台八葉院のすぐ上、東側の遍智院の中央より一つ左に位置されます。
☆仏眼仏母の特徴
仏眼仏母は蓮華座の上に座して瓔珞や宝冠などの飾りなどを付けています。心理を見つめる目が仏になる、更には人に真理を見つめさせて仏の鳴らせる宇宙の真理が仏の母として神格化したのです。
☆仏眼仏母の梵名
buddhalocanī ブッダローチャニー
真理を見つめる覚者の眼を持つ者という意味です。
☆仏眼仏母の印
眼を開いて仏として生まれ変わられるという意味から仏像などの開眼供養の時に使われる印です。
☆仏眼仏母の真言
真言…ノウボウバギャバトウシュシャオンロロソボロジンバラチシュタロシャネサラバアラタサダニエイソワカ
倶胝仏母
胎蔵界曼荼羅での倶胝仏母は中央の中台八葉院のすぐ上、東側の遍智院の中央より二つ左に位置されます。
☆倶胝仏母の特徴
倶胝仏母は蓮華座の上に座して瓔珞や宝冠などの飾りなどを付けています。もとヒンドゥーの女神 ドゥルガー(シヴァ神の妃)で、仏教に取り入れられて菩薩になったと言われています。
☆倶胝仏母の梵名
cundī チュンディー
別称に七俱胝仏母(しちくていぶつも=サプタ・コーティ・ブッダ・マートリ)があり、「七千万の仏の母」の意味です。
☆倶胝仏母の印
中央の手は説法印と施無畏印を結んでいます
☆倶胝仏母の真言
真言…オン・シャレイ・シュレイ・ジュンテイ・ソワカ
普賢延命菩薩
胎蔵界曼荼羅での普賢延命菩薩は中央の中台八葉院のすぐ上、東側の遍智院の中央より二つ右に位置されます。
☆普賢延命菩薩の特徴
普賢延命菩薩は蓮華座の上に座して瓔珞や宝冠などの飾りなどを付けています。20臂、つまり20本の腕があり様々な持物を持ち説法印を結びます。
大安楽不空金剛三昧耶真実菩薩(ヴァジュラモーガサマヤサットヴァ)の別名があります。
真言宗での普賢延命法の本尊でもあります。
☆普賢延命菩薩の梵名
samantabhadrāyus サマンタバドラーユス
あまねき方面における衆生の延命長寿を益する賢者という意味です。
☆普賢延命菩薩の印
曼荼羅の菩薩が正面で結んでいる印とは違います。
☆普賢延命菩薩の真言
真言…オンバザラユセイソワカ
大勇猛菩薩
胎蔵界曼荼羅での大勇猛菩薩は中央の中台八葉院のすぐ上、東側の遍智院の中央より一つ右に位置され、如意宝珠を仏格化した仏尊です。
☆大勇猛菩薩の特徴
大勇猛菩薩は蓮華座の上に座して瓔珞や宝冠などの飾りなどを付けています。左手に火焔の付いた如意宝珠を持ち、右手に宝剣を持ちます。
☆大勇猛菩薩の梵名
mahāvīra マハーヴィーラ
大いなる勇猛心をもつ者という意味です。
☆大勇猛菩薩の印
不詳
☆大勇猛菩薩の真言
真言…オン・サラバタ・ビマテイ・ビキラネイ・ダルマダト・ネジャタ・サンサンカ・ソワカ
二迦葉
優楼頻羅迦葉
伽耶迦葉