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初盆、新盆とは
初盆(はつぼん)とは故人様の四十九日の忌明け法要が済んでから迎える初めてのお盆のことで新盆(にいぼん)とも言い、他の御先祖とは分けて故人のために特別な供養をします。
初盆と四十九日
四十九日とは死者がこの世の岸(此岸)からあの世の岸(彼岸)に渡り切るまでの期間のことで、死者を船で渡す、或いは自らの足で橋を渡るなどと言われており、故人が亡くなって四十九日目にはあの世の岸にたどり着くさとれ、四十九日までの期間は中陰と言われて、渡り終えたら中陰の期間が終了したということで満中陰と言われるのです。
盆や彼岸の伝統行事は死者があの世からこの世に帰ってくるとされる行事ですから、四十九日の期間中は死者はまだあの世にたどり着いていないので、四十九日が済んであの世にたどり着いてから始めて迎えるお盆が初盆なのです。
もし四十九日までの間にお盆が来るのなら、次の年のお盆が初盆になります。
初盆の期間
一般的なお盆の期間は8月13日から16日までの四日間になります。
迎え火8月13日(迎え盆)夕方
迎え火とはお盆になって先祖の霊がこの世に帰って来ることを迎えるための行事で、お盆の期間に入る7月13日または8月13日の夕方に行います。
近年ではスーパーなどで「迎え火、送り火セット」として販売されていて、家の玄関先や門口などで「ほうろく皿」の中で麻の茎である「おがら」を折って積み重ねて燃やします。
お盆期間(中日)8月14日~15日
お盆の期間中は家の中では精霊棚の上にまこもと言われる敷物をして先祖の位牌を祀り、その前には果物や蓮の葉に乗せた供物などを供え、キュウリの馬とナスの牛飾りを置き、精霊棚の横に盆提灯を置くなどして先祖をもてなします。
送り火8月16日(送り盆)夕方
送り火とはお盆の期間にあの世から帰ってきた先祖をもてなした後に、あの世に帰ることを見送るための行事で、お盆が終わる7月16日または8月16日の夕方に行います。
迎え火送り火の本来のあり方
地方では歩いていける距離にお墓がありますので、お盆の入りにお墓で焚いた火を提灯に灯して家に持ち帰り、家の前で焚くのが迎え火で、その火を家の中の精霊棚や仏壇、提灯などにに灯します。
送り盆の時には家の仏壇の火を提灯に灯してお墓まで行き、お墓で送り火を焚くのが本来のやり方です。
つまり御先祖はまず天からお墓に降りて来て家に行ってお盆の間くつろぎ、お盆が終わる時には家からお墓に行き、お墓から天に帰るのです。
初盆の提灯
初盆の時には白紋天(しろもんてん)と言われる無地の吊り提灯を下げますが、これは亡くなってから初めて家に帰ってくる亡き人を案内するための提灯で、初盆の方の為だけに使い、初盆が済んだらお焚き上げ供養します。
白木の位牌のようにその時に亡くなった人のためだけに使われるものであり、模様の無い無地の提灯を準備して、毎年使うようなことはしません。
精霊流し
長崎の精霊流しは、初盆を迎える精霊のために大きな精霊舟を作って家族や親族の者が舟を引き、たくさんの爆竹を鳴らして夜の街を練り歩き、亡き人の供養をする全国的に有名な祭りです。
本来は初盆を迎える人のために作った精霊舟に亡き人の霊を乗せてあの世に送りと説けるための静かな祭りであり、帆には西方浄土の文字や阿弥陀如来などが描かれることから、魂を送るための宗教行事なのです。
今や観光名物にもなって精霊舟を見物に来る人が増えたことから精霊舟の大きさが競われるようになり、何代も連結されたような精霊舟も見受けられますが、本来は大人が数人で担ぐような規模であり、川に流していたのですが、今では一か所に集められて処分されるようになっています。
初盆を迎える精霊が初めてこの世に戻ってくるのですから、特別に歓迎して、あの世に帰る時には無事にあの世にたどり着くようにとの思いが込められているのです。