どんど焼きとは
小正月の1月15日には神社や田畑などでどんど焼きが行われますが、どんど焼きは歳神様をお迎えするのに作った正月飾りや書初めの書などを持ち寄ってお焚き上げをし、その火で餅や団子を焼いて食べて、一年の無病息災を願う行事です。
どんど焼きの目的
どんど焼きは左義長とも言い、歳神様を家にお迎えするのに準備した門松やしめ縄などの正月飾りを天上に送り、その火と煙に当たって厄払いしてその火で焼いた餅を食べて体の健康を祈り、灰を持ち帰って家の周囲に撒くことにより家の魔除けになるという、焼くことから灰を持ち帰ることまでの全てがとても有難い行事なのです。
歳神様は仏教の神様ではありませんが、毎年正月に家々にやってくる来訪神であり、家を護り福をもたらす神として古来より崇められ、七福神信仰とも繋がりのある神様なのです。
歳神様を迎えるには
古来より各地に伝わる鹿児島県薩摩川内市甑島のトシドン、秋田県男鹿市のナマハゲ、鹿児島県十島村悪石島のボゼなど10件の「来訪神」がユネスコの無形文化遺産に登録されていますが、こういった来訪神は歳神として迎えられ、伝統行事として地域に伝え続けられてきたのです。
歳神様を迎えるには家の門に門松を祀り、注連縄を掛けてから歳神が入って来るための目印とし、家の中には歳神様が鎮座するための依り代として鏡餅(かがみもち)を祀るのです。
どんど焼きは宗教行事
どんど焼きは宗教行事であり、正月行事自体も歳神様をお迎えするための宗教行事であることから、自治体の行事として行うのは良くないという考えが増えて参りました。
一昔前までは住民のほとんどが神社の氏子であり、秋祭りなどは氏子として祭りの手伝いをしたものですが、地方に於いては若い人の都市部への流失と高齢化、そして都市部に於いてはマンション形式で付き合いのない世帯が増加したことで、地域に伝えられてきた行事が次々と消滅しています。
そしてどんど焼きのルーツが宗教行事であることから、宗教を敬遠する人達による不参加や反対に依る理由も大きいのです。
環境問題
近年はどこの自治体でも環境問題に対する取り組みとして家庭でのゴミの焼却や野焼きの禁止令が出ていますし、例外として認められている農業での藁焼きでも近隣からの苦情があることから、どんど焼きも同様、止めていく所が増えているのです。
消えていく伝統行事
我が国では古くから伝えられている地域の伝統行事が次々と消えて行っていますが、地域の人達のお互いの幸せを願い、助け合ってきた伝統まで無くしているのです。
伝統を守るという事
我が国では太古の昔よりそれぞれの地域で必死に生きてきた人達の努力と次の世代の幸せを願う気持ちの積み重ねで歴史が作られてきました。
自分たちが生きていけるのは自分達だけの力ではなくて、神仏の加護が必要であることを皆が認識していたのです。
今の時代のように科学万能の時代で、宇宙の遥か果てまでのことが分かってくるようになると、宇宙の成立や運行まで科学で説明されていますが、それでも宇宙を動かしている大きなエネルギーまでは説明できないのです。
一昔前までの人達は神様が身の回りに居て当たり前という生活をしていましたので、感謝するという事、畏れるという事に関しての心の豊かさは今の時代よりも優れていたのです。
善悪に関する正しい判断やお互いに協力し合うことを地域行事の中で育んできたのです。
一年の無病息災を願い、伝統行事に参加することは子供にとっても豊かな心を育むために必要なことで、家庭を大切にし、神仏を敬い、健康を祈り、地域の良さを知るために伝統の灯を消さないようにしたいものです。
以前の記事もご覧くださいませ…どんど焼き、どんと祭りについて