山梨県の弘法大師伝説

弘法大師空海が生涯の活躍を通して六十二歳で高野山奥の院に入定されるまでの間に日本全国を巡っていた形跡が数多く残っていて、自らの行として、仏法興隆のため、造寺建立のため、民衆救済のためにと全国を廻っていたその業績は膨大な数の伝説となり今でも地方に伝わっています。

真偽の程が定かではない話もたくさんありますが、弘法大師空海が偉大なる存在として全国に知れ渡り、ある意味神的な存在として崇拝されていることでもあるのです。

山梨県に残る弘法大師空海の伝説をご紹介致します。

水に関する伝説

*「湯村温泉」…山梨県甲府市湯村の伝承。「水」

大同3年(808)、弘法大師空海が巡錫で当地を訪れた際、道の真ん中の大石が行く手を阻んでいたので、杖を使った法術で大石をどかすとそこから温泉が湧き出てきた。

*「独鈷ノ井戸」…山梨県南アルプス市の伝承。「水」

弘法大師空海が巡錫で当地を訪れた時に、独鈷を地面に突き刺すとそこから滾々と清水が湧き出した。

動植物に関する伝説

*「石芋」…山梨県甲府市羽黒町の伝承。「動植物」

弘法大師空海が巡錫で当地を訪れた際、村人に芋を所望したところ「石のように硬くて食べられない」と断ったら本当に硬い芋で食べられなくなった。

*「弘法杉」…山梨県甲府市愛宕山の伝承。「動植物」

弘法大師空海が巡錫で当地を訪れた時に、杖を地面に突き刺すとそこから滾々と清水が湧き出し、杖は根を張り多すぎになった。

*「金櫻神社」…山梨県甲府市の伝承。「動植物」

弘法大師空海が巡錫で当地を訪れた時に自筆経文を奉納。

造寺、仏像に関する伝説

*「塩澤寺」…山梨県甲府市湯村の伝承。「造寺、仏像」

大同3年(808)、弘法大師空海が巡錫で当地を訪れた際、住民達の厄除けの為に17日間祈願したところ菩薩の幻影が出現したので、自ら厄除地蔵尊を彫刻し塩澤寺を創建。

*「真豊院」…山梨県南アルプス市の伝承。「造寺、仏像」

弘法大師空海が本尊を安置して創建。

*「深向院」…山梨県南アルプス市の伝承。「造寺、仏像」

弘法大師空海が巡錫で当地を訪れた時に創建。

*「八幡寺」…山梨県南アルプス市の伝承。「造寺、仏像」

弘法大師空海が巡錫で当地を訪れた時に八幡神の化身と思われる童子が出現したので、童子の協力を得て八幡寺を創建。

*「不動」…山梨県南アルプス市市古市場の伝承。「造寺、仏像」

弘法大師空海が巡錫で当地を訪れるた時に川から金色の大日如来が出現したので、自ら大日如来を彫刻して不動寺を創建。

*「金剛」…山梨県南アルプス市江原の伝承。「造寺、仏像」

弘法大師空海が巡錫で当地を訪れた時に、洪水により疫病が発生して多くの住民が苦しんでいたので、自ら薬師如来像を彫刻して当寺を創建。

*「大成」…山梨県南アルプス市市古市場の伝承。「造寺、仏像」

天長8年(831)、この地域で大洪水が発生した時に、視察に訪れた弘法大師空海が当寺を宿所とし、毘沙門天像を彫刻して胎内に七種商法免書を納め原七郷の守護神として祀った。

*「法善」…山梨県南アルプス市加賀美の伝承。「造寺、仏像」

弘仁13年(822)、弘法大師が寺部村に境内を遷して再興した。

修行に関する伝説

*「弘法の硯田」…山梨県南アルプス市の伝承。「修行」

弘法大師空海が巡錫で当地を訪れてこの田圃で毎日墨を洗っていたところ地面まで黒くなった。