吉祥天とは
吉祥天はサンスクリット語でシュリー・マハーデーヴィーと言い、ヒンドゥー教ではヴィシュヌ神の妃である女神ラクシュミーが仏教に取り入れられて天部の神となりました。
家族構成
毘沙門天を夫とした家族構成は次のようになります。
- 父…徳叉迦(とくさか)
- 母…鬼子母神
- 夫…毘沙門天
- 妹…黒闇天
- 長男…最勝(さいしょう)童子
- 次男…独健(どっけん)童子
- 三男…那吒(なた)童子
- 四男…常見(じょうけん)童子
- 五男…善膩師(ぜんにし)童子
吉祥天の住処
吉祥天は毘沙門天の妃として天部に住み、場所としては六欲天の第一天である四天王であり、私達の世界に続く須弥山の頂上に住む帝釈天に仕え、八部鬼衆を眷属として仏法守護の役割を担います。
四天王の身長は半由旬、寿命は500歳で、その一昼夜は人間界の50年に相当します。
- 持国天 – 東勝身洲を守護。乾闥婆、毘舎遮が眷属
- 増長天 – 南贍部洲を守護。鳩槃荼、薜茘多(へいれいた)が眷属
- 広目天 – 西牛貨洲を守護。龍神、富単那が眷属
- 多聞天 – 北倶盧洲を守護。夜叉、羅刹が眷属
吉祥天の特徴
中国の貴婦人風の色鮮やかな衣服を身に付けて頭に宝冠を載せ、瓔珞などの装身具を付け、左の手には摩尼宝珠を載せて右手は施無畏、もしくは与願印を結んでいます。
我が国での吉祥天
「金光明経」の「大吉祥天女品」に吉祥天女の功徳が説かれていることから、天武4年(675)には「金光明経」の講説によって五穀豊穣を祈願し、持統8年(694)には「金光明経」一百部を諸国に送って読誦させたりして、国家安穏としての信仰が早くから行われていました。
また8世紀に入ってからは「金光明経」に基づく「吉祥悔過会」(きっしょうけかえ)が盛んに行われましたが、これも国家安穏、五穀豊穣を祈願するためのものです。
吉祥天の真言
吉祥天の真言は
- おん まかしりや えい そわか
吉祥天信仰と功徳
吉祥天は弁財天と間違えられることが多いですが、美人で優しい神として人気があります。
家族神として
吉祥天は単独での信仰よりは、毘沙門天を中心とした家族神としての役割が大きく、また子供も伴いますので、私達の人間世界から最も近い場所にある天界で、家族を伴った神としての姿は、私達にとって親しみやすい距離に居られるのです。
毘沙門天は外敵から家庭を守り、吉祥天は家庭を守り、善膩師(ぜんにし)童子は家族の和を深める神です。
家庭円満
吉祥天の吉祥とは縁起の良いこと、有難いこと、目出度いことで、何が起こっても有難いと微笑んでいることの大切さを説いています。
悪いことが起きたら落ち込むのは誰もが同じことですが、吉祥天はたとえ悪いことが起こっても気にしない、そしてそれを福に変えるための摩尼宝珠を持っているのです。
吉祥天は毘沙門天と善膩師童子と共に信仰することをおすすめいたします。
それぞれの真言は
- 毘沙門天…おんべいしら まんだや そわか
- 吉祥天…おん まかしりや えい そわか
- 善膩師童子…おん ぜんにし えい そわか