急急如律令とは

急急如律令のイラスト

急急如律令(きゅうきゅうにょりつりょう)とは中国の漢時代の公文書の末尾に書いた「急急に律令の如く行え」という意味の定型文で、後の時代に道家、陰陽士などが呪文として使うようになりました。

最初の急の文字左側、或いは次の急の左側にも口偏が付くことがありますが、口偏の急は現代の漢字に存在しません。

律令とは

平安京のイラスト

律令とは古代アジア国家に於ける法体系のことで、律は刑法で令は行政法、民法、商法などです。

我が国では645年の大化の改新を経て中大兄皇子や中臣鎌足らが地方の有力豪族の蘇我氏から政権を取り戻したのちに、中国の唐時代の法体制に倣って天皇を中心とした中央集権的な官僚体制を敷くことで全国の人民と土地を統治するシステムが律令だったのです。

中央集権国家としての体制を築き上げる律令は瞬く間に地方に伝播し、土地は国家の物となりほとんどの人が口分田を貸し与えられた農民となりましたが、租・調・庸・雑庸などの税や労働の負担は重く、貧困の苦しい生活を強いられていたのです。

護符に書かれた急急如律令

古い御札を放置のイラスト

漢時代の中国に於いて公文書の末尾に書かれた「急急如律令」は法規に従って素早く処理して下さいという定型文でしたが、この定型文が我が国の護符に書かれるようになったのは奈良時代からで、平城京跡から出土した木簡の文字の最後の部分に「急急如律令」が書かれています。

当時の飢饉や疫病は鬼神の仕業だと考えられていて、鬼神を退治したり、悪事を働かないように祈祷する優秀な祈祷師を確保することが朝廷の存亡にも関わるような大切な任務であり、弘法大師空海が淳和天皇の命で神泉苑で雨乞いの法を修法したり陰陽道の安倍晴明が花山天皇の命を受けて陰陽道の儀式をするなど国家的な任務を担っていたのです。

儀式での修法に使われる護符には梵字や呪文が使われている中でも急急如律令は最後に使われる特別な呪文であり、唱えることによっても効果が得られます。

急急如律令の使い方

僧侶の説明のイラスト

急急如律令は護符の最後の部分に「早く願い事が叶いますように」との意味で使われますので、単体で使われるようなことは少ないです。

願い事の下に書かれることが多いようです。

言霊としての効果もありますので、唱えても構いません。