インドヨガ行者

13億の人口を抱えるインドにはヒンドゥー教を始めとして多彩な宗教が色濃く生活の中に根付き、サドゥーと呼ばれるヒンドゥー教のヨガの行者はインドとネパールに約500万人いると言われています。

サドゥーは物を持つことがなく定住もせずに、民衆からの喜捨を頼りに最終目標としての解脱を目指して苦行と瞑想を続けているのです。

Yahoo!ニュースによりますと、インドで80年間も飲まず食わず、排せつもせずにヨガと瞑想の日々を過ごしたプララド・ジャニ(Prahlad Jani)さんが26日死亡したそうです。

子どもの頃に女神の祝福を受け、以来栄養を取らなくても生きられるようになったジャニさんですが、インド医学界の関心を引き、2010年には、軍医らの研究班が、グジャラート州の最大都市アーメダバード(Ahmedabad)の病院で、ジャニさんを2週間にわたって観察したそうです。

ジャニさんはカメラで監視され、医師らが器官や脳、血管をスキャンし、心臓、肺、記憶力の検査を行いましたが、研究班によると、ジャニさんは食べることも飲むことも、トイレに行くこともなく、液体と接触したのは、定期的に行ったうがいと入浴の際だけだったそうです。

神経科医は当時、記者団に対して「ジャニさんがどのように生き延びているのか、いまだに分からない。これはどういった現象なのか、依然謎だ」と語っていたとのこと。

ヨガが目指す究極の境地であるサマディ(三昧)に達すれば肉体の新陳代謝が無くなることは知られていて、インド政府が認めた聖者にだけ許される「公開サマディ」では聖者は地中に数日から約2週間埋められて、酸素の極めて少ない環境の中で、断食、断水、不眠を数日間から2週間程度耐え抜くといった荒行をこなします。

女性として或いは外国人として初めてインド政府からヨガの最高指導者として認められた日本人の相川圭子さんも公開サマディを成功しましたが、インドでは何万人もの人が見に来る大イベントになるそうです。

そういった宗教に関する話題が日常普通に流れるインドでもジャニさんの死去は大きなニュースなのですが、このような仙人の域に達している方でしたらあと900年は生きることが出来たのではないかと思いました。

それでも水ぐらいは飲まないと死んでしまいますよと周囲から心配されて生き続けた90年間は尊敬です、1食抜いたぐらいでも死にそうだとブーブーわめく私達を見たとしたら、「私なんか80年食べていませんよ」と軽くあしらわれたことでしょう。