法螺貝とは

法螺貝を吹く写真

法螺貝とはホラガイ科の巻貝のことで、巻貝の中では最大の部類に属し、海中ではオニヒトデを食べていて、貝の肉の部分は刺身などの食用に、貝殻は楽器などに使われています。

法螺貝の使用方

楽器として

法螺貝は英語名をトランペットシェルと言い、楽器としては金管楽器に属します。

金属など全く使っていなくても金管楽器なのは、中がらせん状の円錐管になっているからで、トランペットの仲間として扱われます。

陣貝として

戦国時代には合戦における戦陣の合図や戦意高揚のために法螺貝が陣貝として使われました。

修験道の法具として

修験道に於いては「立螺作法」(りゅうらさほう)と呼ばれる修行があり、大まかには乙音(低音側)、甲音(高音側)、調べ、半音、当り、揺り、止め(極高音)などの調子を様々に組み合わせて、獅子吼に擬して仏の説法として鳴り響かせ、悪魔降伏を行い、山中を駈け巡る修験者同士のお互いの意思疎通を図る方法としても使われます。

法螺貝の鳴らし方

貝殻の殻頂を4-5センチ削り、口金を石膏で固定して加工していますので、口金の所に唇を当てて吹きますが、全くの初心者でしたら、最初から吹けるようなことはなく、いくらやっても吹けないものです。

楽器ではトランペットの奏法に近く、唇の振動で音を鳴らし、唇のすぼめ方や角度、吐く息の量などによって音色を変えます。

実際に法螺貝を使う時

山伏の修行

山伏にとっては特に師匠から受け継いだ物であれば命より大切にしなければいけない物で、開式の合図、精神集中の合図、邪念を払うなどの目的で修業を助ける法具として日常的に使います。

柴燈護摩

寺院の落慶法要や晋山式、大祭の時などに焚く柴燈護摩は参列した人に福を分け与えるということで縁起の良いもので御座います。

柴燈護摩を焚く時に行者さんが行列して歩きながら法螺貝を吹きますし、柴燈護摩の会場でも適時吹き鳴らします。

法螺貝は法具であることから「吹く」と言いますと楽器の演奏にようであり、正しくは「立てる」と言いますが、本文中では吹くと表現しておりますことをご了承下さいませ。

お焚き上げ

頒布した御札やお守りなどのお焚き上げの開式の時などに法螺貝が吹かれます。

法要の時

寺院での法要の時に開始の合図として、降魔調伏のためとして法螺貝を吹きます。

祭りの時

時代祭りなどのお祭りの行事の時や、戦国武将などのイベントで使われることがあります。

法螺貝を持つ

法螺貝は師匠からの口伝で学ぶもので、学ぶ機会が少ないですが、降魔調伏、士気高揚などの目的で使えます、練習する場所に困るかもしれません。

法螺貝の名称

法螺貝の各部名称

法螺貝は吹き口の所は歌口と言って山伏用や一般用などの用途によって形状が違います。

法螺貝の値段

法螺貝は天然ものですので、大量生産品ではありませんので一つ一つ色や形が違います。

大きさによって値段が変わり、一つの目安として吹き口の所までの長さが40cmを超えると値段が高くなりますが、これは大きい物が中々採れないからであり、当然大きい物の方が音のボリュームや伸びが良くなります。

40cmまでは2~5万円程度で、40cmを超えると5万円を超えます。

法螺貝袋は1万5千円程度です。

あまり安い物を買いますと、音が出なかったり吹きにくかったりしますので要注意、吹き口の作りが悪いとグラグラしたり取れたりします。

どんな物でも上手い人が吹けばそれなりに鳴りますが、粗悪品は粗悪品の音しか出ません。

法螺貝の手入れ

法螺貝を吹く時の呼気で水分がたまり、特に吹き口の所には梅雨時にカビが生えたりしますので、あまり湿気の多い所には置かないようにして、時々は中を乾燥させたり、アルコールのウェットティッシュなどで綺麗に拭き取ります。

それでも中が汚れている時にはぬるま湯を中に入れて振り、出した後には立てたまま乾燥させます。

法螺貝の音が悪くなった時

吹く前に吹き口の所を掌の内側でポンポンと叩いてみて、その音で法螺貝のその日の調子が分かります。

ポンポンと叩いた時に中に空気が入り込んで、それが出てくるときの音ですから、健康診断みたいなものです。

音が出にくい時には、何かが詰まったような音になりますので分かります。

法螺貝の音が出にくくなるのはやはり吹いた時の呼気や唾が溜まったり、それにカビが生えたりすることが要因のことが多く、そういう時には中を洗ってもいいですし、私の師僧は法螺貝に酒を飲ますと良いと言っておりました。

毎日使っていますと、長年連れ添った相棒みたいなもので、たまには酒を飲ませるのも良いかもしれません。