埋葬とは

埋葬のイラスト

埋葬とは遺体や遺骨を土中に埋めること。

埋葬の歴史

500万年と言われている人類の歴史の中で、生まれてきた数だけ死の数がある訳で、悠久の歴史の中では膨大な数の死者が自然の一員として他の動物に喰われ、朽ちて土に還ることを繰り返してきたのです。

肉体は50年もすれば完全に土に還り、最後に残った骨も犬やオオカミなどの動物に喰われたりしながら朽ち果てて、最後には土に還っていったのですから、残っているものが何も無く、死者の遺体がどのように処理されていたのかは不明なのですが、おそらくほとんどの遺体が放置されていたのではないかと思われます。

我が国では旧石器時代から埋葬の遺構が存在し、縄文時代には石器や土器などの出土から、土葬で埋葬されていた人達が居たことが分かっています。

弥生時代には甕(かめかん)と呼ばれる大きな甕に入れて埋葬されるようになりましたが、一部の有力者であり、ほとんどの人は河原や道端に捨てられたようです。

古墳時代には大きな古墳が競うように作られましたが、これも一部の有力者が権力の証として作られたものです。

江戸時代になって地方の有力者が墓を作るようになりましたが、庶民が墓を持つようになったのは明治時代以降の近年になってからです。

土葬の埋葬

土葬の埋葬

土葬は穴を掘って亡き人の遺体を埋めるという方法で、場合によっては埋めた場所の上に石を載せたりしますが、これは動物に荒らされないための方法であり、平安時代の終わりから鎌倉時代の始めに製作されたとされる「餓鬼草紙」を見てみますと大半の死者の遺体は村はずれの特定の場所に放置されていたことが分かります。

土葬の由来
「餓鬼草紙」より抜粋

また場所によっては大きな穴に放り込まれたり、崖から落とされるなどの方法もとられました。

放置された遺体は当然のことながら野犬やカラスなどの動物達に食い荒らされる運命にあるのですが、それが死というものであって逆らうことが出来ないことだと考えられていたようです。

しかしながら囲いをして墓地として整備された場所もあることから、土葬できるか出来ないかは貧富の差であり、お金のある人は墓に埋葬されるけれど、お金の無い人は墓地に放置される、これもまた逆らうことの出来ない運命だったのです。

現代の埋葬

お墓の納骨室の写真

現代では大都市近郊での土地不足と衛生上の理由などから死者は火葬されて焼骨を骨壺に入れて持ち帰るようになり、四十九日の法要が済んだらお墓納骨されるようになりましたので、お墓に遺骨を納骨することを埋葬または納骨と言われるようになりました。

土葬の頃の埋葬は土中に生身の遺体を埋めるので、年月の経過と共に土に還るのですが、現代のお墓ではコンクリートの納骨室の中に更に骨壺に入れた焼骨を納めていますので、百年経っても、或いは千年経っても土に還ることが無いのです。

土に還ることが無いということは、何時まで経ってもそのままであり続けますので、お墓参りをする子孫が何時までも続けば良いのですが、少子高齢化核家族化、人口の減少が進行している現代に於いては3代、百年も続くようなことが無く、次々と墓じまいする残念な結果になってしまい、その時に納骨室の中の遺骨をどうするかという大きな問題に直面するのです。