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胎蔵界曼荼羅とは
真言密教では宇宙の根源である大日如来の現れ方を大日経を元に描かれた胎蔵界曼荼羅と金剛頂経を元に描かれた金剛界曼荼羅に表現されており、胎蔵界曼荼羅は大日如来の「理」の世界を表現しています。
胎蔵界曼荼羅の構成
胎蔵界曼荼羅は大日経を元に描かれていて、正式には「大悲胎蔵生曼荼羅」と言い、母親の胎内に眠る胎児の仏性が仏の慈悲によって目覚めて育ち、やがて悟りを得るという過程を表しています。
第一重曼荼羅
胎蔵曼荼羅の中央には「中台八葉院」があって中央に大日如来が座してその周りには四仏、四菩薩が配置され、内なる仏性が悟りとして実を結ぶ過程を示しています。
更に大日如来の智慧はその周辺の四つの院「遍知院」「金剛部院」「持明院」「蓮華部院」の働きによって智慧による大慈、大悲の救済が宇宙に行きわたるのです。
第二重曼荼羅
「釈迦院」は法身としての大日如来の働きを生きながらに実現した者がたどり着く世界であり、そこには釈迦が描かれていて、釈迦は修行をして第一重曼荼羅の世界を実現したとみることが出来ます。
第三重曼荼羅
大日如来の智慧の世界にたどり着くための実践の世界が描かれていて、「文殊院」で大日如来の智慧を授かり、「除蓋障院」で修業を邪魔する煩悩や障礙を打ち砕き、「地蔵院」で大地に眠る宝を掘り起こし、「虚空蔵院」、「蘇悉地院」で大いに無限なる世界に繋がることを実践するのです。
最外院としての外金剛部院
曼荼羅の最も外側である外金剛部には天神、鬼神、星神などが描かれていて、大日如来の智慧の世界では法を求める求道者として必要不可欠な存在となるのです。
胎蔵界曼荼羅の役割
胎蔵界曼荼羅は金剛界曼荼羅と共にあって両界曼荼羅と言い、真言密教の最も基本となる曼荼羅です。
修行論として
曼荼羅の世界に外から入っていく修行論として見れば、外金剛部に居た者が修行を積み重ねることにより、釈迦という成就者の段階である第二曼荼羅を目指し、大日如来の第一曼荼羅に至る過程となります。
宇宙の拡がりとして
宇宙の拡がりという意味では大日如来の法は人の存在を通して外金剛部にまで遍く拡がっている、その様子を示すのが胎蔵界曼荼羅なのです。