目次
門松とは
門松とは正月に門の前に飾り付けられるもので、松を中心として竹、梅などを用いた歳神様を迎えるための依り代としての正月飾りのことで、松飾り、飾り松、立て松とも言われます。
門松の役割
門松は家の門の所に置く松飾りのことで、毎年正月に家々にやってくる来訪神である歳神様が天から降りてくる目印である依り代となります。
神々が天から降りてくる目印としての依り代は、大きな樹や岩、山などであり、古代より神が降りてきた依り代自体が御神体として崇められてきました。
一軒一軒の家にやってくる来訪神は門松を目印として天から降りてきて家の中の床の間の鏡餅に宿ります。
松の木が使われる理由
松の木は古代より中国でも不老長寿の象徴として不思議な力が宿る聖なる木とされていますが、その理由としては
常緑である
春夏秋冬の季節がある国では、落葉樹は秋になれば紅葉して葉を落とし、冬の間は成長を止めてじっと春の訪れを待ちます。
しかし常緑樹は寒い冬になっても葉を落とすことなく緑の葉をたたえていることから、一年中休むことなく成長し続けるその姿は強い生命力の象徴とされています。
神々が天から降りてくる樹として常緑樹が選ばれることが多いのは、常に緑の葉をたたえている力強さによるものです。
松の木は神様への供物としても使われるのは、一年中使えること、そして冬の時期であるお正月にでも緑の葉をつけた姿で使えることに依ります。
高い木である
神々が天から降りてくるのにふさわしいは目印としての高い木ということになりますが、松の木は高さが30m以上にもなり、年月の経過と共に風格のあるその姿は一本一本違う独特の姿をしていることから、御神木にふさわしい木であります。
寿命が長い
松の木の寿命は長いもので千近く生きると言われ、静岡県藤枝市藤枝の「大慶寺」の境内では根周り約7m、樹高約25mのクロマツが四方に枝を伸ばしていて「久遠の松」と呼ばれ、今から約750年前、日蓮聖人が比叡山で学んだ帰りに手植えしたと伝えられています。
このように冬でも常緑で寿命が長い松の木は不老長寿の象徴とされているのです。
祀る木
松の木は「祀る」という言葉に繋がることから、とても有難い木であり、あらゆる要素を総合しても神が降りてくる、或いは神に供えるという意味で松の木は特に優れた木であるのです。
松迎えとは
山村では12月13日以降に山に行って松の木や枝を採って来ることを「松迎え」と言って、山に降りてくる歳神を松の木と共に迎え入れます。
歳神は山に降りてきて松の木に宿り、その枝を頂くことで家に迎え入れるということになります。
松の内とは
門松が家にある期間のことを松の内と言い、1月の15日もしくは7日までとされ、門松を片付けることを松下ろし、松あがり、松払い、松引き、松送り、松納めなどと言い、門松を片付けた後のことを松過ぎと言います。
松の内が済んだら門松はどんど焼き、左義長と言われる行事にてお焚き上げされます。
門松を見直そう
門松は門の所にお祀りされるものであって、歳神様をお迎えし、一年間が無事に過ごせますようにとの思いが込められているのです。
笑う門には福来る
家の門は家の入口であり、外敵から守る大切な場所ですが、最近では家を建てる時に門を作ることは少なくなりました。
家の敷地が狭かったり、車を停めるスペースが必要であったりなどの理由で門は今の時代では邪魔者扱いされています。
またマンション暮らしの方には家の門など最初から設置されていないのです。
神様が家の中に入って来る時には門から入ってきますので、門の周辺には物を置かない、綺麗にしておくことが大切で、本来は神聖な場所なのです。
福の神がやって来る時にも門から入ってきますので、門の中から笑い声が聞こえてくるような活気のある家には福の神がやってくることを「笑う門には福来る」と言うのです。
門松を作ろう
近年では正月になって門松を飾っている家を見かけることがほとんどなくなりましたが、門松は材料さえあれば誰でも作ることが出来ます。
基本的に門の右と左の一対で作ることになります。
門松の材料
門松の簡易版を作るには
- 大きめの植木鉢
- 松の枝
- 竹
- 梅の枝
- 藁か麻の紐
門松を作るのに必要な物は松竹梅で、地方の農家では自分の敷地の中に全部揃っているようなこともありますが、近年では勝手に他人の山に入って取って来るようなことをしていたら通報されるかもしれません。
特に松の枝は松枯れによって壊滅的な状況になってしまった地方もありますので、入手が困難かと思います。
梅の枝はまだ花は咲いていませんので、咲いていない枝でも構いません。
竹を三本斜めに切って縄で縛るだけでも門松の雰囲気が充分出ますので、それを基本にして生け花のように作ってもよいかもしれません。
門松作りのコツ
門松は松がメインになるはずなのですが、斜めに切った太い竹が三本と垣根のように周囲を囲んだ竹によって、どちらかと言いますと竹の方が主人公になりがちですが、松の木はたとえ小さくてもあれば問題なしで、仮になくても、花キャベツと言われる葉牡丹などが生け花のように植えられていてもまた良いものです。
門松用紙とは
門松用紙とは年末になると自治体などが回覧板と共に家々に配る紙の御札のことで、二枚がセットになっていて、門松を飾ることが出来ない家のために玄関や門にはるようになっているものです。
門松を作るようなことに比べて随分と簡略化されていますが、それでもお正月を祝い、歳神様をお迎えするのに是非とも活用したいものです。