蓮の花
蓮の花は仏教の世界では如来の座る蓮華座や極楽浄土の蓮の池などで良く登場しますが、その理由について。
蓮について
ハス科ハス属の蓮は、東南アジア原産の水生植物で観賞用、食用として世界中で栽培されています。
蓮の花は7月になってから早朝に咲き、昼頃には閉じてしまいます。
早朝に咲いて昼頃に閉じることを4日間繰り返し、4日目には夕方まで咲き続けてそのまま花びらを落として散っていきます。
レンコン
蓮の地下茎が肥大したものがレンコンで、蓮の根ではありませんので、そこからさらに先に根が伸びています。
レンコンはスーバーでは年中見かける贖罪ですが、初夏に出回る新レンコンはみずみずしくて歯ごたえのある食感にとても人気があります。
レンコンがお正月のおせちに使われるのは、中に穴が開いていて「見通しがきく」「先がよく見える」からだと言われていて、昔からとても縁起の良い食材なのです。
レンコンが最も多く収穫されているのは茨城県で、全体の43%を占めていて、お正月料理によく使われることから、1年の内でも12月の出荷が最も多いそうです。
ハスの実
蓮の花が終わってからシャワーヘットのような形の花芯が残って蜂の巣のような穴が開いていますが、その穴の一つ一つに種が入っていて熟したら黒くて硬くなりますので、まだ青い内にご飯に炊き込んだり、茹でてサラダにしたりします。
蓮と睡蓮(スイレン)
蓮と睡蓮(スイレン)は同じように池に咲く植物で似たような花を咲かせますが、蓮はハス科、睡蓮はスイレン科で違う植物です。
蓮の特徴
蓮の葉の特徴は
- 水面から高く伸びた先に葉を広げる
- 光沢はなく水を弾く
- 丸く大きな一枚の葉
蓮の花の特徴は
- 水面から高く茎を伸ばした先に咲く
- 花の直径は20㎝程度
- チャワンバスの花の直径は10㎝程度
睡蓮の特徴
睡蓮の葉の特徴は
- 水面に浮いているように見える
- 表面に光沢があり円形で、切れ込みがある
- 水を弾かない
睡蓮の花の特徴は
- 水面に浮くように、あるいは少し水面から立ち上がって咲く
- 花後は水中に沈む
仏教と蓮の関係
蓮は水中の泥の中から茎を伸ばして水の上に綺麗な花を咲かせますが、蓮の花は泥の中と繋がっているものの、全く穢れの無い綺麗な花を咲かせることから、仏教では穢れた俗世間にありながらも全く穢れに染まることなくその中から綺麗な花を咲かせることこそ菩薩や如来の仏の姿であると説くのです。
根は穢れた俗世間にありながらも、俗世間につながった茎の上に綺麗な花を咲かせることが大切で、仏は私達とは全くの別世界の方ではなく、私達の世界に居るということを教えてくれているのです。
泥の中から出てきても泥に汚れていないこと、これが蓮の花が仏教に使われる理由なのです。
仏の座る座を蓮華座と言い、蓮の花の上に座っています。
極楽浄土には蓮の花が年中咲き乱れる蓮の池があるそうです。
蓮の花が水の上でたくさん咲く様子はまるで水に浮かべたランプのようで幻想的です。
蓮の花の中の花芯は仏が座る台座のようです。
蓮の花はそういった気品と清々しさを持ち合わせた花なのです。
お盆と蓮
お盆とは夏の時期の7月か8月の15日前後に行われる先祖の精霊を迎えて祀る仏教と旧来の信仰が習合した行事のことです。
お盆の頃にちょうど蓮の花が咲いていることから、極楽浄土に咲く花として仏壇に蓮の花を御供する地方もありますし、お盆の精霊棚と言われる先祖を迎えるための棚には、御供え物を蓮の葉に乗せる習慣もあります。
蓮の花は朝早くに開きますので、朝一番に摘み取った蓮の花を御供えすればとても気持ちの良いものです。
お盆になったら浄土から先祖が帰ってくるという信仰もあります。
時期的にもお盆と蓮の花は密接に繋がっているのです。