お年玉とは
お年玉とは新年を祝うために目上の者が目下の者に贈る金品のことで、目下の者が目上の者に贈るのは御年賀です。
お年玉の由来
新年になれば家々を訪れるという家の守り神である歳神様をお迎えするために門松や注連縄などの正月飾りを飾り、家の中の床の間では歳神様が鎮座する依り代となるための鏡餅を祀り、歳神様の魂が入った鏡餅は御歳魂(おとしだま)になると言われています。
松の内まで祀られた御歳魂はやがて鏡開きで小分けしたものを子供達に分けることを御歳魂(おとしだま)と言ったのが始まりだと言われています。
「トシ」とは
お年玉の年は歳神の「歳」であり、更には稲の実りを意味する言葉であり、歳神は豊穣神としても祀られています。
鹿児島の甑島(こしきじま)では秋田のナマハゲに似たトシドンと言われる伝統行事が伝えられていますが、トシドンは毎年大晦日になると首なし馬に乗って天界から下界に降りて来て子供のいる家に行き、子供がその年に為した悪事を諌めて善行を褒め、歳餅(としもち)を与えて去っていくので、歳餅を貰った者は一つ歳を取ることが許されるという行事です。
この時に配られる歳餅がお年玉の原型であるとも言われています。
お年玉の中身
現代ではお年玉と言えばお正月になって子供に渡す金銭のことを言いますが、中世の時代では武士は太刀、町人は扇、医者は丸薬を贈り、昔から子供には玩具を与えていた習慣がありましたが、今の時代のように現金を渡すようになったのは昭和30年頃からと言われています。
今では新年の里帰りで帰省してきた子供達に年配の人から渡される現金の入ったポチ袋のことがお年玉と言われ、子供達の大切なお小遣いとなり、年始のおもちゃ売り場が大勢の子供連れの客で賑わうのです。
お年玉の金額にしても昭和の時代までは数百円の小銭が主流でしたが、今の時代は数万円も入っていることもあり、お年玉の本来の意義から離れているようです。
歳神様をお忘れなく
除夜の鐘は夜中に音がうるさいからと中止になり、新年は年越しのカウントダウンで大賑わい、お年玉は子供のお小遣いとしてばら撒くもの、お節料理は作らずに正月早々ファミレスに、正月飾りは訳も分からず飾るだけ、鏡餅もパック入りを買って置いとくだけ、どんど焼きは煙が出ると苦情が出て中止…など近年のお正月の風景は一昔前と様変わりしてしまいました。
お正月は歳神様をお迎えするための大切な行事です。
歳神様は毎年家に来てくれて厄を払い、福をもたらす神様ですから、ちゃんとお迎えしないと家族が幸せに過ごすことが出来ません。
今一度お正月の行事の意味を確認し、神仏や先祖の加護を受けながら温かい家庭を築いていきましょう。
本来の御歳魂はこうだ!
本来のお年玉は「御歳魂」(おとしだま)で、袋の中に餅が入っていれば正解です。
歳神様の魂ですから、何と有難いことでしょう!
餅はもちろん有難く焼いて食べます。
しかし多額の現金を期待していた子供にはさぞやがっかりされることでしよう。
しかしこういう粋な計らいが出来る昭和の親父が居なくなっているのは残念なことであります。
「お金で幸せになるんじゃない、神様に守ってもらって幸せになるのだ」位のことが言えるようでなくてはいけません。
大自然に対する感謝の気持ちや、生きていることの素晴らしさを改めて認識するのがお正月であり、一年のスタートなのです。
そういう気持ちを込めて御歳魂を子供に渡してみませんか。