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アジサイとは
アジサイとは日本原産のガクアジサイから改良された園芸品種で、6月から7月にかけての梅雨の時期に白、青、赤、紫などのガクが大きく発達した装飾花を咲かせます。
アジサイと寺院の関係
最近では広大な敷地を持つ寺院にアジサイが何万株も植えられていて、アジサイ寺として有名な寺院もありますが、何故寺院でアジサイなのでしょうか。
アジサイは厄払いの花である
寺院にアジサイをたくさん植える最もお大きい理由は、アジサイが厄払いの花だからです。アジサイの花は七色に変化すると言われ、その七色が「七難即滅、七福即生」に通じることや縁起の良い七福神にも通じることから厄払いの花なのです。
「七難即滅、七福即生」とは、七つの災難を消滅したその後に七つの福を生じさせるという意味で、七福神の御利益としても知られています。
アジサイがたくさん植えられている厄除けで有名な寺院は多いものです。
甘茶祭りのアマチャもアジサイの一種
アマチャはアジサイ科の落葉低木のアジサイの変種になります。
毎年4月8日にはお釈迦様の生誕を祝うお祀りが寺院で行われ、花祭り、灌仏会、甘茶祭りなどと言われますが、寺院では様々な花で飾った花御堂の中に灌仏桶を安置してその中央に誕生仏を祀り、柄杓で甘茶を掛けて祝います。
釈迦の誕生時に八大竜王が祝って産湯に甘露を注いだという故事による習慣です。
この時に参拝者に振る舞われる甘茶はとても甘みが強いお茶ですが、甘茶の若い葉を蒸して揉み、乾燥させたものを煎じれば甘茶になります。
この甘茶を作るためにアマチャをたくさん植えていたというのが、寺院にアジサイがたくさんあるもう一つの理由です。
花の寺
寺院に植えてある花や木は御本尊様に手向けるため、そして参拝客に楽しんでもらうためでもあります。
悩み苦しみを抱えて寺院に参拝して境内を歩いている時に、そこに咲いている花に心を癒されたという方は意外と多いもので、花と言うものはそれだけ人の心を和ませるものがあるのです。
檀家が減ってしまったり、参拝者が減ってしまった寺院が寺起こしのためにとアジサイをたくさん植えて成功した例がいくつもあります。
七福神とアジサイ
アジサイは七色に色が変化することから七福神をお祀りしている寺の境内に植えられていることがあります。
七福神は七つの神様が揃って賑やかに、そして金銀財宝を満載した宝船に乗って来ることから、いろんな色と種類ののアジサイをたくさん植えれば賑やかさが増します。
また毘沙門天は外敵を寄せ付けない厄除けの神なので、毘沙門天をお祀りする寺院でのアジサイもよく似合います。
アジサイと厄除け
梅雨のジメジメとした時期に咲くアジサイは、雨が降って家の中に籠り、気分が沈みがちな時に元気に咲いて、私達を勇気付けてくれます。
アジサイの厄除けの由来
アジサイは我が国に自生する花であり、その語源としては「集真藍(あづさい)」で、意味は「藍色が集まったもの」であると言われていますが、小さな花が集まって咲く姿から、力が合わさって大きな力になることを意味し、「七変化」「八仙花」などとも言われて霊力を宿した花であると見做されてきたのではないかと思います。
我が国では古来よりの大自然への信仰であるアニミズムの流れを受けて、大自然のありとあらゆるものの中に魂が宿り、時には仏にもなるという「山川草木悉皆成仏」(さんせんそうもくしっかいじょうぶつ)という思想が受け入れられてきましたので、アジサイの持つ神秘性から特別な霊力が宿ると信じられてきたことが厄除けの由来かもしれません。
逆さアジサイ
6月の6のつく日に、アジサイを逆さまに吊るしておくと厄除けになるそうです。玄関に吊るせばお金が貯まり、部屋に吊るせばお金に困らず、トイレに吊るせば病気(婦人病)にかからないなどの伝承があります。
アジサイを白い紙で包んでから紅白の水引を巻いて逆さまに吊るす方法や、水引のみ、逆さに吊るすだけなどのいろんなパターンがあります。
アジサイを逆さに吊るす理由は調べても分かりませんでしたが、花を逆さに吊るすのは、元々上向きに咲くアジサイの霊力を切って止めて、水引を掛けることにより神聖化し、花の持つ霊力を家の中に向けるためではないでしょうか。
写真はやすらか庵の事務所の玄関付近ですが、赤い唐辛子の厄除けの隣に逆さアジサイがあります。
七変化
またアジサイは7色に色彩が変化すると言われ、「七難即滅、七福即生」の花ということで、厄払いの花としてお寺にアジサイを植えることが多く、アジサイ寺として有名なお寺が各地にあります。
アジサイは株を増やしやすい事や手入れが簡単なことから特に広い土地でたくさん植えますと、大柄の花が咲いた姿はとても見ごたえのある景色となり、写真家の方が多く訪れるようになるのです。
梅雨の花
我が国で古来より自生するアジサイは梅雨の時期の花の定番です。
特に梅雨時でジメジメした時には家の中にカビが生えたり、気分が滅入ったり、古傷が痛んだりして体調が優れない時期であり、屋外に出かけることも少ないので、こういう時にアジサイでも見に行けば、厄払いも出来て気分転換になるものです。
アジサイは見て厄払い
アジサイは見る厄払いです、折って持ち帰ったりしたら厄払いにはなりません。
花泥棒に罪は無しと言われますが、お寺に植えてあるお花は元々、御本尊様に対するお供えですから、持ち帰るものではありません。
見るだけで厄払いになるのですから、花に厄を取ってもらう、それだけでとても有難いことなのです。
やすらか庵ではお焚き上げ供養場の「墨田の花火」という品種の純白なアジサイも綺麗に咲いています。
アジサイは歩いて厄払い
アジサイは見ることによって厄払いになりますが、可能であればアジサイが咲いている花の間を歩けば更に厄払いになります。
大自然や自然の草花は私達の心を浄化するエネルギーを出し続けていて、その中でも太陽のエネルギーは最強ですが、梅雨の時期には晴れ間が少なく、どうしてもパワー不足になってしまいますが、そういう時にこそアジサイのパワーをもらえば鬱陶しい梅雨の時期を乗り切ることが出来るのです。