ムカデとは

毘沙門天とムカデ

ムカデとは多足亜門・ムカデ綱に属する肉食の節足動物で、三千種以上が世界中に存在し、約4億2千万年前の化石が発見されたことから現代まで生き残る原始的な生き物で、毘沙門天の使いと言われます。

ムカデの特徴

漢字では「百足」と書くように、足の数がとても多いことが特徴で、一つの節に一対の足があります。

ムカデの仲間として、足の短いヤスデは一つの節に二対の足があり、ゲジゲジは大型で足が長いことが特徴です。

ムカデには毒があり、その毒で小動物や他の虫を捕食し、普段は落ち葉や石の下、穴の中などの湿気の多いジメジメした場所に住んでいるのですが、家の中に入ってくることもあり、布団の中や靴の中に潜んでいることから、刺されて痛い思いをした方も多いことでしょう。

ムカデの毒は人間の命を奪う程の毒ではありませんのが、大型のムカデに噛まれますと腫れあがったり、長時間痛むことがあります。

ムカデは刺すのではなくて噛むことによって毒が体内に入り、噛まれた所は2か所の傷が付きますのですぐに分かります。

ムカデの毒は42度以上の熱に弱いので、噛まれたらすぐに火傷に注意して42度以上のお湯で洗い流します。

噛まれた所を自分の口で吸い出す事は却って毒を拡散させるので良くないことです。

いつまでも腫れが引かなかったり激しく痛む場合には早めに皮膚科に行きましょう。

毘沙門天の使い

古くからムカデは毘沙門天の使いと言われ、その理由としては

  • たくさんの足が一糸乱れずに連携して動く
  • 前にしか進まない(決して後退しない)
  • 足はお金のことであり、お足が多いことで金運を呼ぶという信仰から
  • 養蚕の敵であるネズミがムカデを嫌うことから「ネズミ避け」として信仰された
  • 鉱山の神としてムカデが信仰されていた
  • 子を大切に育てる

と言われ、鞍馬寺伝来の毘沙門天が祀られている神奈川県鎌倉市の白山神社では「大注連縄祭」が伝承され、ムカデを模した大注連縄を作って奉納し、信貴山朝護孫子寺の本堂の扁額の左右にはムカデが彫られていることなどで古来よりムカデが大切にされていることが分かります。

ムカデの理由をさらに深く

毘沙門天の使いとしての虎の関係は、虎が最強の部類の動物であることや一日に千里の道を走ることなどが挙げられましたが、獰猛な虎を使いとする毘沙門天は仏法守護の魔を寄せ付けない力の神であります。

毘沙門天は足元の邪鬼を踏んでいることは、悪事を働く邪鬼を従わせていることを表していますが、獰猛な虎をも従わせて仏法興隆と民衆の救済を行っているのです。

邪鬼や虎は誰もが恐れるのですから、毘沙門天の使いとして出現すれば誰もが恐れおののいて素直に従うことでしょう。

虎は黄色と黒の色で相手に対して危険な存在であることを知らせています。

ムカデの色は胴体の黒と足の赤で、毒のある危険な存在であることを知らせています。

更にもう一つの特性として前にしか進まない事であり、仏法に従わなければ毒も使うし、悩み苦しむ人に対しては、とにかく前に進めと諭しているのです。

毘沙門天信仰とムカデ

迷いがある時には立ち止まってゆっくり考えることが大切ですが、あまり長く止まっていれば、動き出す勇気が持てなくなってしまいますし、何処に向かって進めばよいのかが増々分からなくなるものです。

そういう時に毘沙門天は前に進め、動き出せと方向性を示して、悩み苦しむ人の背中を押してくれるのです。

私達の日常生活の中では害虫として嫌われるムカデは生物学的には益虫であり、何ら悪いことはしないのですが、時として運悪く噛まれるようなことがあって激痛が走りますと、特に小さな子供の居る家ではムカデは害虫になってしまいます。

長くて足がたくさんあったり、足の無い動物は見た目が気持ち悪い、グロテスクということで嫌われるのですが、ある意味力強さの象徴であり、信仰の対象でもありますから、そういう目で見るようになりますと、ムカデに対する見方が少しは変わってくるかと思います。