善膩師童子とは
善膩師童子は毘沙門天と吉祥天の子であり、ヒンドゥー教ではヴィシュヌ神と妃である女神ラクシュミーとの子ということになります。
家族構成
毘沙門天を夫とした家族構成は次のようになります。
善膩師童子は末子
毘沙門天と妃の吉祥天の間には五人の子が居て、
- 長男…最勝(さいしょう)童子
- 次男…独健(どっけん)童子
- 三男…那吒(なた)童子
- 四男…常見(じょうけん)童子
- 五男…善膩師(ぜんにし)童子
となるのですが、毘沙門天、吉祥天、善膩師童子の三尊形式で仏像が作られることが多く、善膩師童子には他の兄弟も居て、長男も居るのですが、何故善膩師童子ばかりが登場するのでしょうか。
アジアの遊牧民の社会では「末子相続」と言いまして末子が親の財産のほとんどを相続するという仕組みがありました。
最初に生まれた子から順にある程度の財産を分与されて独立しますので、一番最後に生まれた子には親の財産のほとんどを相続することになるのです。
我が国でも必ずしも長男が後継者になるという決まりが古代より続いていた訳ではなくて、邇邇芸命(ににぎのみこと)、彦火火出見尊(ひこほほでみのみこと)など神話に於いても末子相続が見られます。
善膩師童子はこのような習慣の中で一人だけ子の代表者として選ばれたものと思われます。
善膩師童子の特徴
善膩師童子は子供ですが、賢くて智慧深い理想の子供として朝服風の衣服を身に付けて髪を左右に丸く結い、手には箱を持って勉学に励む姿を表しています。
善膩師童子の真言
善膩師童子の真言は
- おん ぜんにし えい そわか
善膩師童子信仰と功徳
善膩師童子は単体でお祀りされるようなことはありませんが、毘沙門天の家族に必要な存在です。
家族神として
善膩師童子は単独での信仰よりは、毘沙門天を中心とした家族神としての役割が大きく、私達の人間世界から最も近い場所にある天界で、家族を伴った神としての姿は、私達にとって親しみやすい距離に居られるのです。
毘沙門天は外敵から家庭を守り、吉祥天は家庭を守り、善膩師(ぜんにし)童子は家族の和を深める神です。
家庭円満
私達人間世界では誰もが望む幸せとして「子孫長久」「健康長寿」「財産満足」がありますが、その中でも昔から「子宝」と言われるように子供は宝物であり、授かるものであるが故に欲しいと思っても得られないこともあり、神仏の加護が必要な部分なので、子宝に恵まれて子供と一緒に楽しい家庭を築くということわ実現するのが善膩師童子の役割なのです。
善膩師童子は毘沙門天と吉祥天と共に信仰することをおすすめいたします。
それぞれの真言は
- 毘沙門天…おんべいしら まんだや そわか
- 吉祥天…おん まかしりや えい そわか
- 善膩師童子…おん ぜんにし えい そわか