隣の墓から草が伸びてきた

墓じまいをしなければお墓は草木に覆われます

隣のお墓にいつもお参りする人が来なくなったと思っていたら、いつの間にやら草が伸びてきてあまりに酷いので草を刈ってあげましたが、果たしてこの行いは仏教で言う所の善行、つまり功徳になるのでしょうか。

誰も来ないお墓

屋外にあるお墓はどんなに綺麗なお墓でも参る人が居なくなってしまえば荒れ果ててしまうもので、ゴミが溜まってきたり、草や木が生えてくるようになってしまいます。

あまりに長く放置しますと木がどんどん成長して周りのお墓の石を持ち上げたり、コンクリートを割ってしまったり、枝葉が上から落ちてきて石の痛みが激しくなってくるのです。

誰かが定期的にお参りしているお墓はお掃除さえしていたら痛みが少ないのですが、誰も来ることが無くなったお墓は荒れ果ててすぐに分かるものです。

誰も参ることが無くなったお墓でも年間管理費さえ払われていればお墓を強制的に撤去されることはありませんが、お墓の状態があまりにも酷くて隣近所に迷惑が掛かるような時には、お墓の使用人宛に連絡が行くようになっています。

公営や民営の霊園でしたら年間管理費が払われなくなった時点で強制撤去の旨が書かれた立て札が立てられて、一定期間の間に縁故者が名乗り出なければお墓は強制撤去されます。

強制撤去されたご先祖様は無縁として扱われてしまいますので、そうならないうちに墓じまいをする必要があるのです。

しかし集落の共同墓地などの場合には無縁になったお墓がそのまま放置されていることが多く、草木が生え放題で隣近所の方が困るということになるのです。

誰に言えばよいか

草木が生えて放置されたままのお墓に迷惑を受けているような場合には、現状を訴えるためにとりあえずそのままにしておいて、墓地の管理事務所または管理人の人に相談してみましょう。

管理事務所や組合がある所でしたら前向きに対応してくれるはずです。

管理人の居ないような集落のお墓でしたら親族の人や町内会長などに相談してみましょう。

隣のお墓の草刈りは善か悪か

隣のお墓に草が生えていて、気の毒だからと善意で草刈りをすることは良くない事だと昔から言われています。

何故なら隣のお墓の草刈りは隣の人がするべきだからです。

隣のお墓のご先祖様は隣の人が参って来るのを心待ちにしていて、隣の人がお参りして掃除し、花や供物、線香などを供えて手を合わせることが供養になるのであり、関係の無い人がしてくれても嬉しい事ではありません。

そうは言っても隣のお墓のご先祖は善意でしてもらった掃除に関してはやはり感謝しつつも、何回も続けて行いますと、当てにしてはいけない人のお参りを当てにするようになってしまいます。

お墓は本来、子孫長久を願い、子々孫々まで仲良くお参りする場所ですから、「○○家之墓」と書いてある通り、家を継ぐ者がお参りして管理しているからこそ価値があるのです。

ですから隣のお墓の草刈りはせっかくの善意でも善意にはならない、功徳にはならないということです。

今まで草刈りしてきた場合…

そうは言っても本当に困っていて、誰に相談してもどうにもならなかったので、そうせざるを得なかったような場合には、急に止めたら逆に恨まれそうです。

そういう場合には最低限度、自分のお墓に迷惑が掛からない程度に草を刈るようにしましょう。

折角だからと全部綺麗にすることはありません。

昔から「無縁仏に手を合わせるな」と言われるのですが、無縁仏にとっては誰か参ってくれる人が待ち遠しくて仕方ないので、手を合わせてくれる人が居たら嬉しさのあまり憑いてくると言われているのです。

ちょっと惨いようですが、自然に還っていき、忘れ去られるのも供養であり、大自然の摂理で、諸行無常の原理で宇宙が動いていることを悟るべきなのです。