後継者とは
跡継ぎの人、前の人の役割や権限、または財産などを引き継ぐ人のこと。
後継者と継承者の違い
どちらも先代や先任者などの地位や身分、財産、権利、義務を受け継ぐ者という意味は同じなのですが、後継者の場合には親の物を子供が継ぐという意味合いがあって、俗にいう「後継ぎ」「跡取り」「世継ぎ」などの言い方もされます。
また継承者の場合には他に居なかったからと言う単純な理由で選ばれることもありますが、先代や先任者などが打ち立てた手法や思想、法などを受け継ぐ人は、仏法に於ける「法の継承者」のような使い方で、親子関係などを除外した、優秀な選ばれた人のことです。
家業として親から長男に引き継ぐような場合には後継者と言うことになりますが、継承者という言い方でも構いません。
お墓の後継者
御先祖様の遺骨が眠るお墓は「お墓の土地」と「墓石」で成り立っていますが、墓石が自分で購入した物であるのに対し、お墓の土地は自分の土地ではなくて「借り物」です。
つまり「借地」の上に「持ち家」が建っているのであって、永遠に借地料を払い続けるという仕組みになっているのです。
借地料を払い続けてさえいれば如何にも自分の土地のように使えますが、借地料の支払いが出来なくなれば持ち家の撤去を通告されるのです。
お墓を新規に購入したら「永代使用料」と「年間管理料」を支払うことになりますが、「永代使用料」を払ったからと言って自分の土地になるのではなくて、借地を何時までも使っていいですよ、という権利のことで、但し借地料を払っている間という条件付きなのです。
実際にはお墓の土地を買うよりも高い「永代使用料」を支払っても自分の土地にはなりません。
しかし永代使用料を払って得た「永代使用権」という権利は子や孫などの親族に継承出来ますので、お墓を引き継ぐ時には使用者の変更をする必要があり、一般的には後継者の方になるのです。
ここでもう一度まとめますと
- 永代使用料…お墓の契約時に、墓地を使い続ける権利として支払うお金で一般的に30万円以上
- 年間管理料…毎年払うお墓の借地料、維持管理費のこと
後継者が居ない
地方で農業や林業などの家業を営んでいる家では長男が家業を継いで家に住み続け、同時にお墓も継承するのですが、今の時代は若い人が都会に移り住んで地方の空洞化が進み、都会でも親子孫がそれぞれ別の場所に暮らしていることから、引き継ぐ物が何もないという現象が頻発しています。
今や我が国では後継者が居ない家が続出し、都会の霊園では後継者が居なくて無縁になっていくお墓が増え続けているのです。
後継者が居なくなったお墓は墓じまいをして散骨供養、樹木葬、永代供養などの後継者不要の選択肢で御先祖様のお片付けをするのです。
片付けるという事
親が子育てをしている間は家の中の片付けも含めて、子の散らかした物を片付けをする役目がありますが、子が巣立って行った後には夫婦だけの時間が訪れて、やがて何時か必ずこの世から居なくなり、子に片付けてもらう時が来るのです。
親の片付けは感謝の気持ちを込めて綺麗に片付けて差し上げることです。
葬儀や供養も含めて家の片付けまで感謝の気持ちで綺麗にして差し上げることも親孝行であり、親の供養でもあるのです。
自分が最後の後継者になったら
もしも自分が最後の後継者になってしまったら、お墓も片付けなければいけません。
先祖が子孫の繁栄を願って建てたお墓ではありますが、その期待にお応えすることが出来なくて申し訳御座いませんが、これで終わりにさせて頂きますので、何卒ご了承下さいませ、というお断りを入れるのです。
自分が最後の後継者になることは仕方の無い事であり、御先祖様に報告すれば必ず分かってもらえますので、最後には精一杯の感謝の気持ちを込めて墓じまいするのです。
何もせずに放置してご先祖様を無縁仏にしてしまうことは善くないことです。
周囲の人にも迷惑を掛けますし、何よりもご先祖様が惨めな思いをされるからです。
綺麗にお片付けするということは人としての礼儀でもあるのです。
仏教では「諸行無常」と言ってこの世には永遠に続くものは何もないと説きますが、お墓も決して永遠に続くものではありません、如何に最後に綺麗に終わることが出来るか、という事が問われているのです。