不綺語について
不綺語とは飾り立てた言葉を言わないということで、身(体の行い)、口(口で発する言葉)、意(心で思う事)の規律である仏教の十善戒の中で、口で発する言葉に関する規律の一つ。
「綺語」とは
「綺語」の「綺」とは美しい衣服で、具体的には飾りや模様の付いた高価な服のことなので、「綺語」は飾り立てた言葉ということになります。
「不綺語」という戒律は飾り立てた言葉を言わない、という戒律になります。
綺語が良くない理由
綺語は飾り立てた言葉のことですが、お世辞と言った方が分かりやすいかもしれません。
「お世辞」とは「相手に気に入られるために、心にもない誉め言葉を言うこと」です。
人付き合いを円満にしていくためには、相手を褒めるということはとても大切なことで、結構心にもないことを言っているもので
- 服がよく似あいますね
- ステキなネクタイですね
- 良い時計をお持ちですね
- 心に残る素晴らしい言葉ですね
- 皆に尊敬されていますよ
- とても評判がいいですよ
- あなたのお蔭でうまくいきましたよ
- 息子さんは優秀ですね
などの言葉で、言葉を発するのにお金が要ることではありませんので、どんなお世辞でも言うことによって相手が喜んで、それで世の中がうまく回れば「嘘も方便」なのです。
しかしながら、心にもないことを言うのは、仏教では嘘をつくことであり、物事を正しく観ていないことでもあるのです。
仏教としては世の中が上手く回るという事よりも嘘をつかない、正しく観るという事が優先されるのです。
そう言われても
私達の実際の社会は競争社会ですので、うまく乗り切らないと、どんどん落とされていくものです。
会社の役職にしても順調に上がっていけば給料も上がりますし待遇も良くなりますから、なるべく上に上がりたい、そのためには実に多くの人が競争していて、場合によっては醜い足の引っ張り合いの戦いを繰り広げているのです。
会社では上司から可愛がられる人は早く昇進するもので、上司に対してのお世辞が上手であったり、付き合い上手なのですが、そういうことが苦手な人から見れば実にわざとらしいと感じるのですが、世渡り上手な人が上に上がっていく社会なのです。
正しい言葉とは
仏教が説く正しい言葉とは、嘘のない真実の言葉なのです。
しかし実際の生活の中で私達は、仏教の経典に書いてあるような言葉ばかり発する訳にはいきません。
どうしてもお付き合いというものがあって、飾りの付いた言葉も必要です。
そういう時には「心にもないことは言わない」「嘘をつかない」ということだけに気を付けて下さい。
仏教的に禁じている不綺語とは「相手の気を引く目的で、心にもないことを言うこと」「嘘をつく」ことを禁じているのです。
お付き合いというものは必要ですから、「素晴らしいですね」「いつも感謝しています」などの言葉は大切な言葉なのです。