目次
塗香とは
塗香とは仏教に於いて手や身体を清めるために塗る良い香りのする香のことで、仏に捧げる六種供養の一つ。
塗香の由来
インドは熱帯国であることから、生活臭として悪臭を放つことが頻繁にあるために、塗香を使うことによって良い香りに変え、場を清浄にするという目的のために使われていました。
また体臭を消すためにも使われています。
このように不浄を清浄に変える塗香は聖なる空間を作るものとして仏に対する供養として古より使われてきたのです。
塗香の作り方
仏教で使う塗香は数種類の香木を混ぜて粉末にし、よく乾燥させたものです。
石臼、乳鉢、すり鉢、薬研(やげん)のようなもので細かい粉に粉砕します。
木には独特の芳香を持つものがあり、枯れたり乾燥することにより更に芳香を放つことで、古代より香木として有用され、珍しいものは宝石のように貴重品として扱われ、高価で取引されています。
六種供養とは
六種供養とは仏教に於ける仏に供える供物のことで、閼伽、塗香、華、焼香、飲食、灯明のことです。
この中に塗香が含まれています。
塗香の使い方
塗香は古くなったら香りが薄くなってきますので、出来るだけ新しい内に使う事、そして密閉できる容器に入れておくと良いでしょう。
塗香を頂く時には作法がありますので真言宗の作法をご紹介いたします
合掌
これから塗香を頂いて体と心を清めるに際し、合掌して仏法に巡り合うことが出来た御縁に感謝致します。
塗香器の蓋を開ける
塗香器とは塗香を入れる仏器のことで、香りが逃げないように、湿気ないように、埃が入らないようになどの理由で蓋がしてあります。
お堂に入堂する時に大勢の人が使うような時には、蓋を開けたままにしてあります。
右手で一つまみ
右手の親指と人差し指で軽く一つまみ頂きます。
あまり大量に頂きますと塗るのではなくて、ボロボロとこぼして散らかしてしまうことになります。
取り分ける
右手で頂いた塗香は左手の親指と人差し指で半分頂きます。
気持ちとして半分であれば充分です。
左手の掌に塗る
右手の親指と人差し指に付いた塗香を左手の掌に塗り込みます。
体温の温かさで香が空間に広がることを思いながら、静かに丁寧に塗ります。
右手の掌に塗る
今度は右手の親指と人差し指に付けた塗香を左手の掌に塗り込みます。
体温の温かさで香が空間に広がることを思いながら、静かに丁寧に塗ります。
手全体に塗り込む
石鹸で手を洗うように塗香を手全体に塗り広げます。
胸の前で
最後に組んだ手を胸の前で広げる動作をします。
この状態は広げる前。
胸の前で手を広げる
この状態は組んだ手を広げた状態で、組んで広げるを3回繰り返します。
これは塗香を体全体に行き渡らせる作法であり、本来であれば手、足、腰、胸などの体全体に塗って浄めるのですが、服を着ていますので、このような作法で観想して体全体に行き渡らせるのです。
最後に合掌
合掌にはじまり合掌に終わるのが仏教の作法です。
合掌した掌の中から良い香りがしてきたら、その香りを吸いこんで体の中にまで届けましょう。