遺骨とは
遺骨とは亡くなった方の遺体を火葬で荼毘に付した後に残った焼骨のことで、火葬普及率の高い現代では骨壺に納められた焼骨のことを一般的に遺骨と言います。
他には山中で白骨化した骨や、土葬で土の中から掘り出された骨も遺骨と言い、一体(たい)、一柱(はしら)という数え方をします。
焼骨
亡くなった人の肉体を火葬した後に残った骨のことで、火葬炉の温度の1200度程度で肉体が燃え尽きて灰になるのに対して、骨は水分が抜けて縮小したり割れたりするものの、遺骨として残るために、火葬場では親族などによって骨壺に収骨されます。
納骨
墓地や納骨堂などの規定の納骨場所に納めることを納骨と言います。
墓地は後継者が必要ですが、近年では後継者の居ない方が増えていることから、後継者不要の樹木葬や、合葬墓に納骨を希望される方が増えてきました。
また遺骨を粉状にして海や山に散骨供養される方も増えてきています。
遺骨は火葬後には親族などによって骨壺に収骨されて、仏式の場合には四十九日(約七週間)まで、神式の場合には五十日祭まで自宅に安置されて、墓地や納骨堂に納骨されます。
無宗教の方や他宗教の場合には四十九日や五十日祭に関係無い日程で、火葬後すぐに納骨されることもあります。
墓地や納骨堂の予定の無い場合や、後継者の居ないような方の場合には四十九日や五十日祭の期間が過ぎても自宅に遺骨を安置していることもあります。
分骨
分骨とは1体の遺骨を2つ以上に分けて収骨し、2か所以上の場所に納骨することで、火葬後に本骨を収骨する骨壺とは別に分骨用として小さな骨壺を準備して納める方法が一般的です。
火葬場での分骨では事前に申請しておけば「分骨証明書」が発行されますが、一旦墓地に納骨された遺骨を分骨する場合には、遺族や霊園管理者の立会いが必要になります。
分骨された遺骨は寺院の本山に納骨したり、別の埋葬場所に納骨したりします。
粉骨
散骨供養するなどの理由で遺骨を粉状にすることを粉骨と言い、儀式を伴って粉骨することを粉骨供養と言います。
遺骨を粉状にして自然の中に散布することを散骨と言い、土中に埋葬する埋葬行為ではありませんので、埋葬許可証などは必要ありません。
遺骨は圧縮したり粉砕すれば粉状になりますので、粉末にすることによって容積が少なくなり、容易に分けることが出来る事から、遺骨をペンダントなどに入れて身に付けたり持ち歩く手元供養にも利用されています。
遺骨をダイヤモンドに加工する場合にも粉骨することが必要になります。
また遺骨全体を粉骨することによって容積が小さくなり、気に入った容器に入れて自宅で祀るという方法も普及しています。
樹木葬では最終的に自然に還すことを目標にしていますので、納骨時には遺骨を粉骨している事を求められることが多いです。
遺骨を粉骨する目的としては
- 散骨するため
- 自宅で供養するため
- お墓の納骨室が一杯になった
- 手元供養するため
などで、お墓の中に納骨された遺骨を粉骨するには遺骨の乾燥や再火葬が必要になってきます。
遺骨の自宅安置
近年では後継者がいない方が増えて来た影響で、お墓を買えない方が増えてきましたが、どうしたら良いのかという決断が出せずにいつまでも自宅に遺骨を置き続ける方が増えてきました。
遺骨の自宅安置は違法ではありません
遺骨は一般的には四十九日まで自宅でお祀りして四十九日の法要が済んだらお墓に納骨するというのが通例ですが、お墓を買えない場合には遺骨をそのまま家に安置し続けることになります。
最初の内は早く何とかしないといけないと思っていても、やがて年月が過ぎて行くうちに、遺骨がそこにあって当たり前のようになってしまいます。
故人のためにお線香を上げに来てくださる方にも、申し訳ないような気持になりますし、自宅に遺骨を置き続けることに罪悪感を感じることがあるかもしれませんが、遺骨を自宅に安置し続けることは違法ではありません、合法で、全く問題ないことなのです。
しかし亡き人の遺骨をそのままにしていることは、供養と言う意味で果たしてそれで良いのかと迷ってしまいます。
焦らずゆっくりと決める事
故人の遺骨を早く納骨してあげたいからと何も考えずにお墓を買って入れたにしても当分はそれで構いませんが、やがて墓じまいの危機に直面した時に焦って決めてしまったことを後悔します。
金銭的にも労力的にも無駄なことをしてしまうよりは、自宅に遺骨を安置したままでゆっくりと考えた方が得策です。
遺骨をどうするかは目の前の遺骨に対して毎日語り掛けていれば、必ず答えを教えてくれます。
亡き人との関係はそういうもので御座います。
遺骨に威圧感を感じる時
遺骨の骨壺は箱やカバーを含めますと相当に大きい物で、早く墓に入れてくれと言わんばかりの姿なので、威圧感を感じる人は意外と多いものです。
そういう時には粉骨供養してもらえば随分と小さくなりますので、お気に入りの壷や容器に入れてお祀りすれば親しみが湧いてくるものです。
入れ物は意外と大切なもので、可愛い入れ物に入った遺骨(遺灰)は可愛いと思えるようになるのです。
お気に入りの入れ物に入ったことにより、故人に対してより一層親しみが湧き、いつも傍に居ることが楽しくなるかもしれません。
亡き人といつも語りながら将来を決めていけば良いのです。