補陀落浄土とは
補陀落(ふだらく)とはサンスクリット語でポータラカ (Potalaka) の音訳であり、遥か南の観音菩薩の浄土の事です。
補陀落浄土の由来
古代インドに於ける世界観は世界の中心に須弥山という高い山があってその周りに広大な海が広がり、海の果ての島には神々の浄土の世界があると信じられてきました。
古くは観音の降りてくる霊場としての山を補陀落と言い、その形は八角形をしていて、インドの南端の海岸にあるとされましたが、その場所はどこであるのかは分かりません。
補陀落信仰について
海の向こう、太陽の沈む水平線の遥か向こうには観音菩薩の浄土があって、そこに行けば夢のような浄土の生活を永遠に満喫することが出来るという信仰が補陀落信仰です。
補陀落渡海
観音菩薩の浄土である補陀落浄土にある補陀落山は、観音菩薩が降り立つとされる伝説上の山であり、海の遥か向こうにあるという言い伝えから、我が国では中世になって補陀落浄土を目指して船に乗って渡海するという補陀落渡海がさかんに行われて時期がありました。
補陀落の地としては熊野や日光が有名ですが、和歌山県の熊野の海岸から、補陀落浄土を目指してわずかな食糧と水を携えて小さな帆掛け船に乗り、外に出られないように外から閉じてもらってから出港するという、決して帰ることの無い補陀落渡海で旅立った人が数多く居ます。
チベット仏教
チベットにあるポタラ宮はチベット仏教と在来政権の本拠地として高さ120メートル、東西に400メートルの長さを誇り、部屋数が1000を超えると言われる世界でも最大級の建築物です。
ダライラマと言われる政治と宗教の両方を統括する王の宮殿でもあり、ダライラマは観自在菩薩の生まれ変わりと言われていて、歴代のダライラマの死後は世襲制ではなくて占いなどを基に転生した赤子を見つけると言う摩訶不思議な方法により任命されるのです。
ポタラ宮のポタラはは観音菩薩の住むとされる補陀落のサンスクリット語名「ポータラカ」に由来しています。