冥土の土産とは
冥土の土産とは死後の世界に持って行く土産物のことで、手に入れることによって安心して死ぬことが出来る物や言葉、体験などのこと。
知る土産
冥土の土産とはこれさえしておけばもう、安心して死ぬことが出来る、悔いが残ることがないというものですが、殺人事件のドラマや時代劇などで悪役のセリフで瀕死の人に対して「冥土の土産に本当のことを教えてやろう」と言うのは、今までずっと騙して或いは隠していたけれど、どうせ死ぬのだから最後に本当のことを教えてやろうということです。
つまり真実を知らないままでは成仏することが出来ないだろうから、本当のことを知った上で心残りなく死んで下さいということですが、死ぬ前に本当のことを言うのは実は惨い事であり、最初から本当のことを言ってくれと言いたいところです。
行いの土産
人間というものはたとえ歳を取っていても若い子とデートしたいなどの欲望が潜在的にあるもので、大抵は実現しない物と諦めるのですが、もし実現したとしたら良い冥土の土産になったと喜ぶでしょう。
死ぬまでに一度はハワイに行ってみたいと願っていた人のハワイ旅行が実現したなら、とても素晴らしい体験が出来たという事で、これもまた冥土の土産になるのです。
死ぬ前にどうしてもしておきたいことがある人は、それらをやり終えたら心残りが無くなることにより、安心して死ぬことが出来ます。
心の土産
人に騙されるばかりで人を信じることが出来なかった人が最後に本当に信じることが出来る人と出会った時にはそのことが、立派な冥土の土産になります。
病気で苦しんでいる時に看病してもらったり、車いすを押してもらったり、荷物をもってもらったりなどのちょっとした親切が冥土の土産となる人もいます。
親切をあまり受けたことが無い人、親切を親切だと受け止めることが出来なかった人でも、自分が弱者の立場になったり素直な心を持つことができるようになって、人の心が温かいと思えた時にはちょっとした親切が何よりも大切な宝物になるのです。
あの世に持っていけるもの
私達があの世の世界に物品やお金、家や車、家族などの形ある大切なものを何一つ持って行くことが出来ません。
そういう意味では冥土の土産は形無きものであり、物質ではありません。
私達が死ぬ時には何も持って行くことが出来ないという事実がありながら敢えて土産と言うのは、この世で悔いの残らないように生きて充分に満喫し、あの世に行く時は何も持って行くことが出来ないのだから、この世で過ごした楽しい思い出だけをあの世の世界に持って行きなさいということなのです。
あなたなら冥土の土産は何を持って行きますか?