火生三昧耶法とは
火生三昧耶法とは柴燈護摩を修法した後に、燃え残った灰や炭などをならして通路を作り、その通路を裸足で歩くことにより厄除けや健康を祈願するもので、火渡りとも言います。
火生三昧耶法の意味
火生三昧耶法は本来、修験者が山岳修行などによって体得した超自然力である験力を示す験術であり、山岳修行では天台宗の千日回峰行などの荒行が有名ですが、成満した人は不思議な力である神通力を持つとされ、火の中を歩いても熱いことを感じないそうです。
そういった力を持った行者は多くの人の信者が付くことで、行者としての修行、そして民衆の救済の日々を送ることが出来るのです。
火生三昧耶法は不動明王に成りきるための修行で、護身法で自らを清浄にした後,本尊不動明王と合体したと観じて、不動明王となって護摩の火の中を渡ります。
不動明王と成った行者は集い来る民衆の悩みや苦しみを取り除くのです。
柴燈護摩の後の火でお札やお守りなどのお焚き上げをすることがありますが、お焚き上げをしたら火生三昧耶法はしないのが通例です。
火生三昧耶法は熱いか
大きな柴燈護摩を焚いてすぐに、まだ燃え盛る火の中を裸足で歩く訳ですから、普通の人でしたら間違いなく火傷をします。
しかし観想の力と言うものは凄いもので、どのような行者であれ不動明王になったと観想して火の中に入れば熱さを感じないものなのです。
火渡りの行事として
場合によっては参列した信者さん向けに火渡りの行事として参加してもらうこともありますが、火傷をするようなことがあってはいけませんので、かなり入念に地ならししてから、行者が渡った後に渡ってもらいます。
燃え盛る火は脇の方に避けてから、歩く所はなるべく火や炭が無いようにしますが、それでも少々は熱いので、急いで渡れば大丈夫です。
火渡りに参加して渡ることが出来れば、厄を落として元気で過ごすことが出来ると言われています。
火生三昧耶法の効果
火生三昧耶法は行者にとっても信者にとっても意義のある修法です。
行者にとって
柴燈護摩は寺院のお祭りや祝い事として焚くことが多く、屋外での行事ですから準備も大変であり行者もある程度まとまった数が必要なので、頻繁に行う行事ではありません。
行者にとっても数少ない修行の場であり、多くの人の祈りが合わさる祭事ですから、不動明王や竜王が火の中に降りてきたと言われることも多々あり、護摩の本尊と一体になれるチャンスなのです。
信者にとって
柴燈護摩は慶事として行われることが多いために、福の御裾分けが頂ける良いチャンスです。
有名な行者さんが来るような場合には、人だかりが出来るほどです。
寺院での神仏の催しは神仏とのご縁が出来る良いチャンスと思って、是非出かけてみて下さい。