護摩とは

護摩とは

護摩とは火を焚いて供物を神仏に捧げて天に届ける儀式のことで、供物と共に祈願を届けることもあり、屋内で行う護摩と屋外で行う柴燈護摩があります。

護摩の由来

護摩の語源はサンスクリット語のホーマ(homa)で、供物、供物をささげる、いけにえなどの意味があります。

護摩はインドで紀元前1000年頃に成立したヴェーダ聖典に出ているバラモン教の儀式であり、古代ペルシャ発祥の宗教であるゾロアスター教は拝火教と言われて、護摩を焚いて火の神を供養していました。

火そのものが神として礼拝されるので、火を焚いてその中に供物を投げ入れて供え、諸悪を断ち浄めることが護摩の起源だったのです。

仏教に最初に護摩が取り入れられたのは密教で、ヒンドゥー教の影響と言われていますが、密教の思想で成立していますので、今でも護摩を行っているのは真言密教天台宗、チベット密教などの密教系の寺院で行われています。

密教で護摩を焚くことが出来るのは、得度受戒四度加行、伝法灌頂を済ませた僧です。

護摩の種類

護摩には実際に火を焚く外護摩と心の中で火を焚く内護摩があります。

外護摩

護摩壇を作り、或いは祭壇を利用して護摩木に火をつけて供物を投じて祈願する方法のこと。

屋内に固定された護摩壇で行う方法と屋外に作られた護摩壇で行う方法があります。

内護摩

自分自身を護摩壇に見立てて、仏の智慧の火で自らの心の中にある煩悩や悪業に火を付けて焼き払う作法のこと。

護摩の目的

護摩の祈願にはその行う目的によって息災・増益・調伏・敬愛・鉤召の五つに分類されます。

息災法(そくさいほう)

災害や災難の無いこと、収まることを祈るもので、旱魃、台風、洪水、地震、落雷、火災などの天変地異や、疫病、流行病などの病気に対して、或いは生活苦に対して終息を祈願する。

増益法(そうやくほう)

災害や災難を取り除き、積極的に幸福を増幅させることを目的とする修法で、長寿、健康、合格、良縁、金運、安産などの成就を祈願する。

調伏法(ちょうぶくほう)

怨敵、魔障を除去する修法で、仏法に照らし合わせて正当な理由なく使い方を間違えると全て自分に跳ね返ってきます。

敬愛法(けいあいほう)

調伏とは逆の修法であり、他人を敬い愛し、平和円満を祈願する。

鉤召法(こうちょうほう)

諸尊・善神・自分の愛する者を召し集めるための修法。

護摩の本尊

波切不動明王

護摩の本尊は不動明王であることが多く、不動明王は火焔を背負い悪を断ち切る役割を持つことから、護摩にふさわしい本尊としてお祀りされるのです。

不動明王は大日如来化身と言われ、大日如来は大宇宙の根源であり密教の主尊であることから、不動明王は多くの人に信仰されています。

遣唐使として派遣された弘法大師空海が役目を終えて唐から帰る船での出来事ですが、猛烈な嵐に遭って遭難の危機に瀕している時に、空海が唐で作った不動明王に対して祈願をすると、不動明王は荒波を切って鎮めたので無事に帰ることが出来たということです。

この不動明王は波切不動と言われ、今でも高野山の南院にお祀りされています。