波切不動とは

波切不動明王

波切不動とは海上で嵐に遭った弘法大師空海の乗る遣唐船を救うために、海上に現れて波を切り開いた不動明王のこと。

不動明王と真言行者

不動明王は昔から真言密教の行者や山伏を守護してくれる守り神として篤く信仰されています。

護摩の本尊が不動明王であることからも毎日護摩を焚く行者なら必ず毎日礼拝しているのです。

密教系の寺院では本堂や諸堂に多くの仏をお祀りしていますが、その中に必ずと言っていいほど不動明王は含まれているほど人気のある仏なのです。

大日如来の化身であることから、大日如来と共に祀られていることが多く、護摩堂や不動堂といった堂には単独で或いは童子と共に祀られています。

波切不動の由来

遣唐使として派遣された弘法大師空海が役目を終えて唐から帰る船での出来事ですが、猛烈な嵐に遭って遭難の危機に瀕している時に、空海が唐で作った不動明王に対して祈願をすると、不動明王は荒波を切って鎮めたので無事に帰ることが出来たということです。

この不動明王は波切不動と言われ、今でも高野山の南院にお祀りされています。

不動明王の理由

弘法大師が船上で拝んだのが不動明王だったのは、弘法大師自信が不動明王を守護神として礼拝していたからであり、不動明王が真言の行者を守護するということを知っていたからなのです。

空海の時代の遣唐船は4隻単位で出航するのですが、航海技術が未熟だったことと自然の風任せの航海の故に途中で嵐に遭って遭難したり行方不明になることがとても多く、唐までの往復の航海で命を落とす人が絶えず、命がけの航海だったのです。

弘法大師が乗った船わ合わせての四船は不動明王の加護の御蔭で無事に大宰府に到着することが出来ました。

不動明王は護摩の本尊として祀られることが多いのですが、交通安全、海上安全の神としても祀られます。

波切不動の真言

波切不動の真言は不動明王の真言と同じです。

心の中に迷いがある時や悪の心を断ち切りたい時に不動明王の姿を思い浮かべて唱えれば心が落ち着きます。

短い真言 ノウマク サマンダ バザラ ダンカン

長い真言 慈救咒 (じくじゅ) ノウマク サンマンダ バサラダン センダンマカロシャダヤ ソハタヤ ウンタラタ カンマン

火界咒(かかいしゅ) ノウマク サラバタタギャテイビャク サラバボッケイビャク サラバタタラタ センダマカロシャダ ケンギャキギャキ サラバビギナン ウンタラタ カンマン