魔除けとは

元三大師

魔除けとは外から入って来る魔物を追い払い、退散させることで、魔物が嫌う物を玄関に掲げたり御札を貼るなどの様々な方法があります。

魔物について

魔物とは魔性を持つ妖怪などのことで、人をたぶらかせたり悪さをしたりして害を加えるもののことです。

普通の人には見えないので、家の中に入って来ても気が付かず、人が寝静まった夜に活動するなどで、存在自体が分からずに気配だけを感じることで不気味さが増します。

妖怪にも人に悪さをする妖怪と、人には悪さをしない妖怪が居て、全国各地で様々な妖怪伝説が伝えられています。

昔から知られているお化けや悪鬼、邪鬼なども魔物の一種です。

体の不調と魔物

魔物は私達の眼には見えない存在なので、霊と同じように居るか居ないかは信じるか信じないかという問題であり、信じない人にとっては気配を感じるようなことは一切なく、信じる人にとっては気配を感じたり時には魔物が見えたりすることがあります。

家の中に何かの気配を感じるということは精神衛生上好ましいことではなく、常に何かが居るということを意識しながらの生活ですので生活に安心感が無くなってしまい、常に不安ばかりを感じてしまい、夜に眠ることが出来なかったり突然目が覚めたりしてストレスが増していきます。

このようなストレスが長期間続きますしとだんだんと体の不調となって表れてきて、病院に行っても原因不明のストレスということで済まされてしまうのです。

やがてストレスは恐怖感に変わっていき、常に誰かが自分を狙っている、襲ってくるという精神的な病になっていき、何も出来なくなってしまうのです。

我が国には昔から多くの魔除けの方法が伝わっていて、今でも実践されています。

魔除けの方法

魔除けの方法とは家の中に居る鬼などの魔物を追い払い、外から魔物が入ってこないようにするための方法です。

ヒイラギ鰯

ヒイラギ鰯のイラスト

ヒイラギ鰯とは節分の日に柊(ひいらぎ)の枝に鰯(いわし)の焼いた頭を刺して、魔除けとして玄関に飾るものです。

鬼の嫌いな鰯のにおいと、柊のトゲトゲした葉っぱが鬼の目に刺さって鬼を祓うと言われています。

ヒイラギの葉は尖っているトゲがあるので、鬼が通る時に眼に刺さることから平安時代には既に魔除けとして使われていて、焼いた鰯は鬼の好物であり、寄ってきた時に眼に刺さるということも言われています。

「蘇民将来之子孫」の御札

蘇民将来子孫のイラスト

備後国風土記(びんごのくにふどき)によると、武塔の神(むとうのかみ)が旅の途中で一夜の宿を借りようと裕福な弟である巨旦将来(こたんしょうらい)に頼むと断られたが、貧乏な兄の蘇民将来(そみんしょうらい)は快く受け入れてもてなして粟飯(あわめし)などを御馳走しました。

武塔の神はそのお礼にと、「蘇民将来之子孫」と言って茅の輪(ちのわ)を腰に付けていれば厄を逃れることが出来ると教え、その通りにしたら疫病が流行って人々が死んでいった時にも助かったそうです。

武塔の神は須佐雄神(すさのおのかみ)と言われていて、塔をもった神であることから毘沙門天であると言われ、更には牛頭天王と習合しています。

その故事に倣って家々の門に「蘇民将来之子孫」と書いた御札を祀るようになったと言われています。

元三大師

疫病除け-角大師

良源(りょうげん)は平安時代の天台宗の僧侶で、正月の3日に遷化されたので「元三大師」、そして厄除けの御札を作ったことから「角大師」と呼ばれています。

世の中に疫病が流行っていた永観2年(984)のある時、良源のもとに疫病神がやってきて疫病を発症するも法力で疫病神を退散させ、の前で観念三昧に入ってその鏡に映し出された角が生えた鬼の姿を弟子に描き写させて版画にしたものが「角大師」と言われる御札なのです。

「この札を人々に配布して戸口に貼り付けるようにすれば、邪魔は近づかず、疫病はもとより一切の厄災から逃れられるであろう」との良源の教えを弟子達が実践し、疫病除けの御札として民衆に配ったところ、疫病は収まったそうです。

死者に関する魔除け

守り刀のイラスト

死者は亡くなった瞬間から魂が離れて、魂の無い肉体が残ることから、様々な魔物が憑りつくと考えられていて、昔から死者を寝かせた布団の上には魔除けとして刀やハサミ、カミソリ、鏡などが魔除けとして置かれました。