鏡餅とは

鏡餅のイラスト

鏡餅は正月に家にやってくる歳神を迎えるための御供えであり、歳神が降りてくるための依り代です。

歳神とは

歳神様

歳神は年に一度、誰の家にでも平等にやってくる来訪神であり、家を守り家族を幸せにする神として昔から信仰されています。

しかしながら無条件にやってくるのではなくて、迎える準備が整っている家わ訪問するのです。

正月にやってくる神であることから、正月前に家の外には歳神を迎えるための門松注連縄などを飾り付け、家の中には鏡餅を飾り付けます。

鏡餅の鏡とは

鏡のイラスト

鏡餅のとはこの世と神々の世界の境界という意味合いを持ち、この世の世界と神々の世界を行き来するための道具として、更には神が出現することから鏡自体が御神体として崇められるようになったものです。

映ると言うことが鏡の大きな特徴であり、写し出すということで神々の世界やあの世の世界を写し出す力を秘めていると考えられたのです。

浄頗梨の鏡

死後の世界に行った死者の裁判を行うとされる閻魔大王の前の浄頗梨(じょうはり)の鏡は死者の生前の悪事を写し出すという不思議な力を秘めています。

浄頗梨の鏡

浄頗梨の鏡とは閻魔大王による裁判の時に嘘をつくようなことがあったら、生きている時の行動を全て映し出すと言われる「浄頗梨の鏡」に真実が映し出されるようになっていますので、嘘をつくようなことがあってもバレてしまうのです。

三種の神器

三種の神器

三種の神器とは皇位のしるしとして、代々の天皇が伝承する三つの宝物ことです。

  • 八咫鏡(やたのかがみ)
  • 草薙剣(くさなぎのつるぎ)
  • 八坂瓊曲玉(やさかにのまがたま)

の三種類の宝物の中には鏡が入っています。

鏡と言っても古代の鏡は銅で出来ていて、神様が宿るものでしたから御神体として崇められてきたのが本来の鏡であり、素材が銅で出来ていてもちろんちゃんと映りますが今の時代の鏡のように姿がきれいに映るようなものではありませんでした。

現代の鏡のように顔やからだをそのままの姿で綺麗に映し出すような鏡は近年になってから出来たものです。

神社の鏡

神社の鏡

我が国の神道は太陽神である「天照大御神(アマテラスオオミカミ)」を最上の神様としてお祀りするので、太陽を象徴するをご神体として神社に祀っているのです。

餅の効用

餅のイラスト

鏡は顔や体を映し出す物ですが、米から作られた餅なのに鏡と言うのは何故でしょうか。

餅は命を繋ぐための大切な作物である米を搗いて丸めたもので、作るのに力を中に入れ込んで、丸い形になることで、神が宿る鏡としての機能を持つようになります。

鏡は三種の神器の一つでありますが、大変に高価なものなので、庶民が持てるようなものではありませんから、餅が正月の歳神様の依り代になるのです。

鏡餅の飾り方

鏡餅のイラスト

鏡餅の飾り方は地方によって様々な違いがあります。

鏡餅の構成

鏡餅の構成

一般的には大小二つの丸い餅を下に大、上に小の餅を重ねてその上にダイダイを置きます。

三宝に半紙を敷いてその上に裏白の葉、大小の餅、串柿、干しスルメ、ダイダイ、昆布などを飾り、地方によって串柿、干しスルメ、ダイダイ、昆布などは有ったり無かったりします。

近年ではプラスチックのパックにパック餅のスタイルの鏡餅が主流になり、プラスチックの形自体が餅とダイダイの形をしている物で、衛生的であることや餅にカビが生えることがないこと、処分が楽な事などが多くの人に受け入れられているようです。

しかしながらプラスチックの張りぼてに神が宿るかどうかは神様が決めることですが、近年の冠婚葬祭の簡略化と形骸化の勢いは止まることなく、八百万の神々が集う我が国の神の居場所がだんだん無くなっていることは憂慮すべき事態です。

鏡餅の期間

鏡開きのイラスト

鏡餅は12月28日頃から飾り始め、1月11日は鏡開きの日です、鏡開きとはお正月の来訪神である歳神様が宿った鏡餅を床の間や祭壇から降ろして食べて、一年間の無病息災を願う行事です。

関東では1月11日、関西では15日か20日に行います。

京都では三が日が明けたら鏡開きを行う地方があります。

関東と関西で鏡開きの日が違うのは、徳川三代将軍である徳川家光が慶安4年(1651)4月20日に亡くなり、月命日が20日になったので、翌年の1月の月命日に目出度い鏡開きをするのは良くないと、鏡開きを1月11日に、松の内を1月7日に還ると言う通達を出したのが始まりだそうです。

関西ではその通達があまり行き渡らなった為に従来の日程で行われているのです。

鏡開きの仕方

鏡開きの仕方のイラスト

鏡餅は年末に臼と杵で突いて作るのが正式な方法で、二段重ねの餅に昆布、海老、橙、裏白などで飾り付け、奉書紙を敷いた三宝の上に乗せて床の間にお祀りするものです。

床の間は神様が降りて来る神聖な場所です。

このように正式な作り方の鏡餅は、搗きたての時にはとても柔らかいですが、すぐに硬くなり、日が経つにつれてひび割れてくるようになり、場合によってはカビが生えることもあります。

鏡開きの時の餅は「切る」ことをしません、「切る」ことは縁を切ることに繋がり、縁起が悪いと言われます。

木槌か金づちで叩いて割るのが正式な方法です。

少々形が悪くなっても気にしてはいけません。

割った餅は汁粉、雑煮、かき餅などにして食べます。