安居会とは

安居会のイラスト

安居会(あんごえ)とは初期の仏教に於いて雨季の雨の多い時期に、虫の殺生を防ぐために僧侶が一か所に集まって共同生活を送ること。

安居の由来

不殺生

安居は釈迦の在世中から行われていた「不殺生」を忠実に守るための修行のことです。

釈迦の時代の教団は忠実に戒を守っていて、雨の良く降る季節である雨季には虫がたくさん出てくるのでなるべく外出を避け、「安居会」(あんごえ)という室内での聞法会を主とした修行を続けたのです。

また乾季になって説法に出かける時には虫を殺さないように摺り足で歩き、水を飲むのにも虫が入らないようにと布で濾してから飲むと言う徹底ぶりでした。

殺生という罪は最も重い罪とされ、生き物に対して最大の死という苦しみを与えて、生きるという道を断ち切ってしまうのですから、仏教では絶対にしてはいけないことだと説かれます。

不殺生の実践

殺生のイラスト

仏教では不殺生は僧侶が守るべき規律の最初にある戒で、不殺生とは生き物を殺さないことであり、反した場合には最も重い罪の波羅夷(はらい)罪になり、出家者は僧団を追放されます。また在家信者が守るべき最も重要な戒です。

命に対する考え方

動物に対する慈悲の心

仏教では輪廻転生の輪の中にある全ての魂の救済を目標とすることから、それぞれの魂は輪廻転生の中で生を受けた以上はその生を全うし、生きている間に善行を積み修行をし、悟りに近づくことを説いている以上、生命を途中で奪う行為や、自分で生命を終わらせる行為を重罪として禁じています。

僧侶をはじめ仏教徒は、可能な限り無用な殺生を避けるべきなのです。

現代の安居会

アジサイ寺

禅宗は戒律を重んじる仏教宗派ですが、現代でも修行僧が安居を行っていて、安居に入る結制から、安居が明ける解夏(げげ)までの間は寺院の領域から一歩も外へは出ずに修行する習慣があります。

また檀信徒向けに安居会と称して法話や仏教講座などを開催している寺院もあります。