一行阿闍梨とは
一行阿闍梨は善無畏三蔵より真言の法を授かった僧で、中国人初の密教の相承者であり、伝持の第六祖になります。
一行阿闍梨の経歴
密教がこれまでインドの僧によってもたらされてきましたが、一行阿闍梨は初の中国人として相承者となります。
一行阿闍梨は一行禅師とも言われ、若い時から勉学に優れ、数学、天文学、暦学に於いて優れた才能を発揮する学僧でしたが、金剛智が中案に来た時に不空と共に入門して灌頂を受けました。
善無畏と共に「大日経」を漢訳し、「大日経疏(だいにちきょうしょ)」全20巻を完成させ、開元15年(727)10月8日に45歳の若さで入寂しました。
科学者としての名声
一行阿闍梨は科学者としても名声高く、現代中国においても「大衍暦」(だいえんれき)という暦を作製した科学者として不朽の名声を得ています。
大日経疏とは
大日経疏とはインド僧の善無畏が開元12年(724)から翌年にかけて大日経を漢訳した時に一行阿闍梨が筆記した全20巻の注釈書になります。
この大日経疏は真言宗の教義を学ぶ上での権威ある書物として古来より大切にされてきました。
一行阿闍梨の姿
一行阿闍梨は八祖として描かれる時には衣の袖の下で印を結んでいます。
阿闍梨とは
阿闍梨とはサンスクリット語でアーチャーリヤと言い、密教では伝法灌頂を受けた僧のことで、弟子を教え育てることが出来る模範としての僧のことです。
大日如来から直弟子の金剛薩埵に示された真言の法は神々の世界から人間の世界に降りてきて、真言宗の伝持の八祖の中でも龍猛菩薩が最初に法を受け、次に法を受けた龍智菩薩から金剛智三蔵、不空三蔵、善無畏三蔵、一行阿闍梨へと伝わったのです。