松の内の意味
松の内とは歳神様をお迎えするための松飾り(門松)を立てておく期間のことを言い、一般的には1月6日までのことで、松飾りは6日の深夜か7日の早朝に取り除きます。
松飾りとは
松飾りとは門松の別名でもありますが、日本全国には松を使った正月飾りが数多くあります。
家々を訪問して厄を払い福を授ける来訪神の歳神様は、一年に一回正月にやってきますので、どの家も歳神様に必ず来てもらうようにとの願いを込めて、おもてなしの準備が出来ていますよとの目印である門松を飾ります。
門松を目印に家に訪れた歳神様はやがて鏡餅を依り代として鎮座されるのです。
門松は目出度くて縁起の良い松竹梅で作られますが、
- 松は一年中緑の葉を絶やさない強い生命力
- 竹は筍がどんどん伸びて拡がっていく力
- 梅は寒い冬を乗り越えて春一番に葉も出さぬ内から花を咲かす力
このような生命力が尊ばれているのです。
松の樹は長寿であることや常緑である事、何処でも身近に利用出来る事、冬でも緑の葉が得られることなどから松を使った松飾りが無数にあるのです。
松の葉に水引を掛けた物や、しめ縄や餅と組み合わせた物、門松にした物などのたくさんの形式があります。
よく間違える言葉「幕ノ内」
「松の内」によく似た言葉として「幕ノ内」があり、「幕ノ内弁当」として知られていますが、幕の内とは戦陣の幕の中、或いは芝居の幕が開いていない間のことを言いますので、芝居の役者が芝居の間に舞台裏で食べていた弁当を幕ノ内弁当と言うようになったそうです。
松の内の期間
正月の元旦に迎えた歳神様が家に滞在する期間が松の内であり、関東では1月7日まで、関西では1月15日までというのが一般的ですが、地方では4日、10日などの様々な期間が定められています。
松の内の関東と関西の違い
松の内は小正月の1月15日であり、鏡開きは松の内が済んだ後の20日に行うものでしたが、江戸幕府の徳川三代将軍である徳川家光が慶安4年(1651)4月20日に亡くなり、月命日が20日になったことから、月命日に祝い事の行事である鏡開きが行われるのが良くないということで、鏡開きを1月11日に変更し、それに合わせて松の内も7日までという通達を出したのが1662年のことです。
その通達は関西にまでは充分に届くことがなかったために関西での松の内は従来通りの15日ということになっているそうです。
七福神も歳神様
歳神様は一軒一軒の家に訪れる来訪神ですから、地方によって様々な神様が居られますが、昔から知られている七福神も皆の家に福を届けに訪れる歳神様なのです。
七福神は正月になると一軒一軒の家をまわって福を授けるとてもむ縁起の良い神様です。
宝船には金銀財宝が山と積まれ、笑顔で福を振りまく七福神は、縁起物として或いは信仰の対象として身近な存在ですが、単に福を届けるだけではなくて、それぞれの神が幸せになる方法を説いていることに深みがあるのです。
松の内の過ごし方
松の内の期間は家に歳神様が来ておられるのですから、「おもてなし」の心が大切で、ご先祖様が家に来られる時にはなるべく静かに過ごすように心掛けますが、歳神様は賑やかで笑い声の溢れる家を好みます。
正月はとてもお目出度い行事であり、新しい年が始まる時なので、スタートが肝心なことから、年の初めには如何に笑っていられるかということが大切なポイントです。
泣いてばかりいる家や喧嘩ばかりしている家には福の神ではなくて、疫病神がやってきます。
正月早々疫病神がやってくるような家では不幸ばかり続いてしまいます。
「笑う門には福来る」笑い声の絶えない家には福の神が必ずやってきます。
子供や孫まで集まって「福笑い」をしたり羽根つきや独楽回し、凧揚げなどの正月ならではの遊びを楽しんでみませんか。