得度とは
得度とは仏教に於ける僧侶になるための出家の儀式のこと。
得度の由来
我が国では仏教伝来以来、律令制度の中で「年分度者」として僧尼の定数が決められていて、毎年10名ずつ試験に合格した者が官許されて、その証である「度牒」(どちょう)が発行されていました。
得度を受けて僧になった者に対しては一切の課役が免除されることから、官の許可なく出家する私度僧が増えてきたために、戸婚律や僧尼令などの法律によって禁止される事態となりました。
本来の得度とは
本来の得度とは三師七証と言って三人の師僧と七人の証人の僧の承認があって、戒律を護るということを自ら誓えば誰でも僧侶に成ることが出来たのです。
しかし兵役、労働、課税などの課役を免れるための出家者が絶えなかったことで税収が少なくなり、律令制度に支障が出るようになったために、地域ごとに年間の得度者を定めて人数を制限するようになったのです。
三師とは
三師は戒和尚、羯磨(かつま)阿闍梨、教授阿闍梨の三人の僧であり、
- 戒和尚…出家後10年以上経つ比丘で10師の中では最上位の僧
- 羯磨阿闍梨…儀式の時に「白四羯磨(びゃくしかつま)」の作法をする
- 教授阿闍梨…出家後5年以上たつ比丘で受戒の時の威儀作法を教える
七証とは
七証とは七人の証人という意味であり、立ち会って証明する七人の比丘のこと。
現代の得度
寺院の子弟や僧侶を目指す者にとっての得度は仏門に入門する最初に受ける儀式になります。
得度を授ける儀式を得度式と言い、自坊で師僧から受けたり、本山の集団得度などを利用したりします。
得度式ではまず出家して僧侶に成る決意を問われ、修行についての心構えを教わり、髪の毛を剃る「剃髪の儀」の後に仏教徒として守るべき戒律を授かって、法名または戒名、祖師以来の法の流れを示した血脈、得度を受けた証としての度牒、そして僧侶の仲間入りとしての袈裟を授かります。