解脱とは
解脱とは悟りを得て煩悩による悩み苦しみの連続である六道の輪廻転生から抜け出し、安楽の仏の境地に到達することで、涅槃とも言います。
苦しみからの解放
仏教では人の苦しみは「四苦八苦」と言って、四苦の時には
の苦しみがあって、八苦になれば「生老病死」の他に
- 「愛別離苦」…愛するものと別れてしまうこと
- 「怨憎会苦」…嫌いな人と会わなければいけないこと
- 「求不得苦」…求めたものが得られないこと
- 「五蘊盛苦」…人間の体の感覚や心から出てくる五つの作用による苦しみ
が加わります。
これらの苦しみから解放される方法が解脱なのです。
釈迦は特別な人
絶対的な安楽の境地を目指した釈迦にとっては私達人間の世界など、迷いと苦しみに満ちた世界であり、一刻も早く抜け出して絶対安楽の世界に行ってしまいたいという強い意思と、もう少しで悟りを得られるという生まれ合わせを持っていた特別な人であったからこそ解脱が可能なのであって、私達凡人が急に思いついて修行を始めても絶望的に無理な話なのです。
釈迦は私達が追いつくようなレベルではなくて、最初から高いレベルに居たからこそ涅槃が得られたのです。
私達はいきなり悟りを目指しても挫折するだけで、大切なことを忘れてはいけません。
それは「悟りを開く前に人として幸せであれ」ということです。
人として真っ当な生き方が出来ないのに、悟りなんて目指せるはずが無いのです。
解脱後の世界
如来と言われる仏は悟りを得て解脱し、それぞれの浄土を持っているので、そういった仏達はもう六道の輪廻の世界に戻ってくることはありません。
解脱した仏達は苦しみの無い安楽の世界に居続けることが出来ます。
西方極楽浄土
西方の極楽浄土とはサンスクリット語でスカーヴァティー(sukhāvatī)と言い、阿弥陀如来の住む処で、苦しみが無く楽のみがある場所のこと。
極楽浄土は次のような所です
七宝からなる池があって、その中には八功徳水によって、湛えられています。その底には、一面黄金の砂が敷きつめられていま す。そして四方には、階段がたてられ、(その階段は)金・銀・瑠璃・水晶の四宝によって組みあわされています。それを昇りつめると高殿がそびえ、金・銀・ 瑠璃・水晶・宝石・赤真珠・瑪瑙の七宝によって、美しく飾られています。
そしてこの国には絶えず美しい音楽が流れ、何種類もの色とりどりの珍鳥が生息して昼夜にそれぞれ三度ずつ、やさしく美しく啼き、そよ風が、さまざまな宝でできた樹木や飾り具を吹 き動かすたびに、美しい音色をたてています。
東方瑠璃光浄土
瑠璃とは仏の世界の荘厳に使われる宝石のことで、仏の世界の宮殿は金、銀、金、銀、瑠璃(るり)、玻璃(はり=水晶)、車渠(しゃこ=貝)、珊瑚(さんご)、瑪瑙(めのう)などの宝石でできていると言われています。
瑠璃とはエメラルド、アクアマリンなどの青緑色の宝石が放つ光のことで、薬師如来が放つ光です。
東の空に陽が昇るときに青緑色の澄んだ光を放つその先にあるのが東方の瑠璃光浄土なのです。
霊山浄土
釈迦如来の浄土と言われています。
霊鷲山は報身の釈迦如来が法華経を説いた浄土とすることから言われることからこの地を浄土とします。