地天とは
地天(じてん)とは密教に於ける十二天の一つで、唐風の兜跋毘沙門天(とばつびしゃもんてん)の足元を両手で支えている大地の守り神で、堅牢地神(けんろうじしん)と呼ばれることもあります。
十二天とは
護法天として仏法を守護する天部の十二尊のことで、八方位と守護の八方天に天地を守護する二天、そして日天と月天の二天を加えて十二天になります。
十二天の構成
十二天は古代インドのヴェーダ時代に成立した神です。
地天の役割
十二天の中でも天を守護する梵天に対して大地を守護する地天は、万物を生み出す母としての重要な役割を担うことから女性の神として崇められ、密教に於いても万物を育成する徳を持つことから、衆生の菩提心を育成する神として曼荼羅に配置されています。
地天と釈迦
仏伝には、釈迦の修行中に現われた悪魔が釈迦の悟りを妨害するために、様々な誘惑したものの退けられて、釈迦に対して「悟りを開いたことを証明するものはない」と言ったところ、釈迦が大地を指すと忽ちに地天が大地より涌き出て七宝の瓶を捧げて悟りを証明したという説話が残っています。
地天と毘沙門天
時は唐の玄宗(げんそう)皇帝時代、国土を奪う戦いで中国西域の安西城(あんせいじょう)が敵に包囲された時、僧侶達の祈りによって土地の神が地中から兜跋毘沙門天を湧出させて城の楼門に出現し、敵を退散させたという伝説があります。
十二天の中では地天は大地を守護し、毘沙門天は北方を守護していることになっていますが、毘沙門天は四天王の中でも仏法世界の北方を守護していることから、毘沙門天と地天との組み合わせは最強の組み合わせであり、国を護り、国土を護り、国民を護るという役割には最適だったのです。