仏法興隆とは
仏法興隆とは仏の説いた法を広めて盛んにすること。
三宝興隆の詔
推古天皇
第29代欽明天皇の皇女で第30代敏達天皇の皇后である第33代推古天皇は我が国で最初の女帝として592年に即位し628年に崩御するまで36年間の長きに亘って在位しました。
蘇我馬子によって擁立された第32代崇峻天皇は蘇我馬子と対立して592年に暗殺され、その後に蘇我馬子によって擁立されたのが第33代推古天皇だったのです。
推古天皇は聖徳太子を摂政に、蘇我馬子を大臣に迎えておよそ150年ぶりに隋との国交を開始し、最先端の文化や政治制度が導入され「冠位十二階」や「十七条憲法」などが整備され、仏教の思想を政治に採り入れて蘇我氏の氏寺である飛鳥寺や法隆寺が建立されました
更に「三宝興隆の詔」で仏法を積極的に採り入れる姿勢を明確にしました。
三宝とは仏教に於ける仏・法・僧の三つの宝として大切にされるもののことです。
- 仏…悟りを得た者
- 法…仏が説いた教え
- 僧…仏の教えを説く者
我が国の歴史の中で国の政策として仏法が採り入れられたことで、寺院建立が推進され、その技術は土木、建築、芸術、製鉄、資源開発、科学などの様々な分野の発展につながったのです。
仏法とは
仏法とは仏の説いた法のことで、仏とは悟りを得た者のことで、人として生まれ悟りを得て仏になった釈迦如来をはじめ、大宇宙に存在する如来と言われる仏のことです。
仏の説いた法は私達の生活に役立つ教えであり、人としての正しい行い、真の意味での幸せ、争いの無い世界を説いています。
仏法は何時の時代、何処の場所であっても変わることの無い教えですから、2500年以上前の釈迦の時代に説かれた仏法は今の時代でも新鮮であり、普遍的な教えなのです。
仏法を学ぶ者は物事の正誤の判断を瞬時に見分ける能力を身に付け、人を裏切ったり騙したりすることが無いために多くの人の信頼を得ます。
興隆とは
仏法という素晴らしい宝があっても誰も触れることが無く、役に立つことが無ければ「宝の持ち腐れ」です。
仏法の本来の目的は全ての人を救済することであり、大海の中で悩み・苦しみの波に呑まれて浮き沈みしている衆生を一人でも多く救い出すことですから、仏法が広がっていくことは重要なことなのです。
仏が説いた法が未だ届いていない場所に届くこと、そしてその地に広がっていくことが興隆なのです。
仏法興隆のために寺院があり、僧が居るのですから、寺院と僧は本来の仕事をするべきなのです。
仏法興隆の願い
今の世の中人と人とが傷つけ合い、自分の事ばかり主張して相手の事を思うことなく、自分さえ良ければそれで良し、人のことなど知ったことではないという風潮に支配されています。
生活面にしてもモノの値段は上がり続け、身近な所で凶悪犯罪が起こり、地震、台風、竜巻、ゲリラ豪雨、洪水などの自然の脅威が至る所で起こるようになりました。
末法とは釈迦の入滅後1500年もしくは2000年過ぎたら釈迦の説いた教えを実践する者と悟りに入る者が居なくなる時期のことで、その考えを末法思想と言います。
今の世の中は仏法を実践する人も悟りを得る人も居ないという時代なのでしょうけれど、「世も末」と言われるように世界の終末に近付きつつある気配すら感じてしまいます。
こういう時代だからこそ仏法興隆に尽力し、心穏やかに平和な気持ちで過ごしていきたいものです。