仏壇の中に宗旨の違う位牌
訳あって仏壇の中に違う宗派の位牌がお祀りしていることがありますが、これは良くない事なのでしょうか。
宗派というものは
釈迦の悟りの内容は仏法として弟子に引き継がれて世界中に広がっていくと共に膨大な数の経典を生み出し、様々な解釈が生まれて、我が国に伝わった仏教も多くの宗祖の努力によって多くの宗派が生まれることになりました。
元々は釈迦の説いた教えだった仏教が伝える者の解釈の仕方や土地の宗教を取り込む中で多くの宗派となったことは仏法の発展と言う意味では素晴らしいのですが、他の宗派と対立したり優劣を競うことにつながってしまってはいけません。
仏教は一つの教えであることを認識する必要があります。
仏壇には宗派がある
仏壇を買いに行けば分かりますが、まず最初に「何宗ですか」と聞かれることになります。
宗派が違えば仏壇の形式や中にお祀りする御本尊、掛軸、仏具などが違ってくるからです。
決まった宗派の仏壇を買えば当然位牌もその宗派の形式の位牌になるのです。
位牌にも宗派がある
仏壇に宗派ごとの違いがあるように位牌にも違いがあります。
もっと言えば戒名の付け方も違うのです。
たとえば真言宗では位牌の一番上に梵字の阿字を入れることが多いですが、日蓮宗でしたら妙法が入っていたりしますので、違う宗派の位牌を並べたら何となく不自然な感じになってしまいます。
実際の仏壇は
仏壇の中に夫婦や兄弟の先祖の位牌が一緒にお祀りされていることはよくあることです。
結婚した妻側の家が絶えてしまったので、宗派が違うけれど位牌を持って来て仏壇の中に入れたというようなことです。
宗旨宗派によって死後の世界観も違いますし、信仰の仕方も違いますので、極端な話、南無阿弥陀仏と南無妙法蓮華経が同居しているようなものであり、これでは亡き人も困るのではないかとも思ったりするのですが、実際はどうなのでしょうか。
結論から先に言いますと、無理して位牌を改宗する必要はありませんし、戒名を付け替える必要もありません。
仏の世界自体が様々な役割の仏から成り立っていることを考えますと、1つとして無駄なものは存在しないのでありまして、共存共栄という姿が宇宙の姿であり、真理であることを思えば、宗旨の違う位牌が一つの仏壇の世界にあっても共存することが出来るのです。
そもそも仏壇そのものが仏の世界の表現であり、小宇宙を形成しているのですから、他を排除することはありませんし、共存してくださいますので、心配することはありません。
違う宗派の位牌のお祀りの仕方
やむを得ない理由で違う宗派の位牌を同じ仏壇でお祀りする場合には、特別なことをする必要はありません。
唱えるお経が違う時には一つの仏壇の前で違うお経をあげても構いません。
場合によっては違う仏像が二つあっても構いません。
仏像を二つお祀りしたからと言って仏様同士が喧嘩するようなことはありません。