仏具とは

法具の写真

仏具とは日々の礼拝に使われる仏壇用の道具や装飾品のことで、寺院では法具と呼ばれて勤行や法要などで使います。

仏具の歴史

托鉢のイラスト

釈迦が開祖の仏教では僧侶の持ち物として認められた「三衣一鉢」(さんねいちはつ)は最低限必要な衣と托鉢の時に使う鉢のみが持つことを許されるという厳しいものでした。

仏教が目指す悟りに対しては自分の物を所有するということは欲望であるとされ、欲望は心を乱して修行の邪魔になるので捨て去ることで執着を無くすことが出来るのです。

当初の仏教は偶像崇拝は禁止されていましたので仏像を崇拝せず、僧侶は何も持つことなく、釈迦の法を実践して瞑想行に勤めることが主流でした。

釈迦の入滅後100年経過してからは、在家の信者から寄進された金品を持つことを許す集団と、従来通り金品を持つことを許されない集団が対立して分裂したことを「根本分裂」と言います。

金品を持つことを許された一派が信者から寄進された物を使うようになったことが仏具の始まりだと言われています。

仏具は仏教の信者に対する供養祈願のために出家者が使う道具として発展していったものと思われます。

仏具の種類

僧侶の説明

在家の者が仏壇での礼拝に使う物や寺院での勤行や法要などに使う物まで含めて仏具だとすれば膨大な数の仏具が存在し、更には宗旨宗派によって形や使い方が違ったり、呼び方が違ったりしますので、あいうえお順に並べてみました。

[あ行の仏具]

  • 閼伽(あか)…朝早く汲んだ井戸の水を入れる器
  • 打敷(うちしき)…経机などの上に敷く敷物
  • 位牌(いはい)…礼拝用としての亡き人の戒名が彫られた霊の依り代
  • 柄香炉(えごうろ)…取っ手の付いた香炉

[か行の仏具]

  • 過去帳(かこちょう)…亡き人の没年月日、享年、俗名、戒名などを記した本
  • 火舎(かしゃ)…香を焚くための法具
  • 花瓶(かびん、けびょう)…花を立てて飾るための瓶
  • 経机(きょうづくえ)…経本を置いて読経するための机
  • 経本(きょうぼん)…お経の書かれた本
  • 曲録(きょくろく)…法要などで僧侶が座るための椅子
  • 華鬘(けまん)…仏堂で使われる花を表す荘厳具、花の代りの樒の葉
  • 香盒(こうごう)…香を入れる蓋つきの入れ物
  • 香炉(こうろ)…香を焚く炉
  • 五鈷杵(ごこしょ)…先が五つに分かれた魔除けの法具
  • 金剛杵(こんごうしょ)…魔除けのための法具

[さ行の仏具]

  • 座布団(ざぶとん)…法要の時に使う敷物
  • 座蒲(ざふ)…座禅の時に使う尻の下の敷物
  • 三鈷杵(さんこしょ)…先が三つに分かれた魔除けの法具
  • 錫杖(しゃくじょう)…遊行僧が使う魔除けの杖
  • 常香盤(じょうこうばん)…長い時間燃え、香の燃え具合で時間が分かる
  • 塗香(ずこう)…手に塗るお香、お香の入れ物
  • 線香(せんこう)…棒状に作られた香
  • 数珠(じゅず)…真言や念仏の数を数えるための法具
  • 燭台(しょくだい)…ロウソク立て
  • 扇子(せんす)…法要や護摩行の時に使う風を送る法具

[た行の仏具]

  • 太鼓(たいこ)…時を知らせる、読経の調子を取るための鳴り物
  • 高坏(たかつき)…
  • 茶湯器(ちゃとうき)…仏に茶を手向けるための器
  • 中啓(ちゅうけい)…法要の時に使う風を送る法具
  • 灯明(とうみよう)…ロウソク、油、電気などの灯り
  • 灯籠(とうろう)…灯りの周りを囲った屋内、屋外用の照明
  • 独鈷杵(とっこしょ)…先が一本で尖った魔除けの法具

[な行の仏具]

  • 如意(にょい)…僧侶が説法の時に手に持つ法具

[は行の仏具]

  • 仏旗(ぶっき)…仏教を象徴する六色の旗
  • 仏器(ぶっき)…仏前に用いる供物を入れるための器
  • 仏壇(ぶつだん)…仏を祀る祭壇
  • 仏飯器(ぶっぱんき)…仏にご飯を供えるための器
  • 梵鐘(ぼんしょう)…時を知らせるための釣鐘
  • 法螺貝(ほらがい)…修験道などで使われる大きな貝の鳴り物

[ま行の仏具]

  • 木魚(もくぎょ)…読経の調子を取るための鳴り物

[や行の仏具]

  • 瓔珞(ようらく)…菩薩の装身具、仏壇の荘厳具

[ら行の仏具]

  • りん…法要の開始、終了、読経の調子を取るための鳴り物
  • りん台…りんを乗せる台
  • ろうそく…蝋の中に芯が入った固形の灯り

[わ行の仏具]

  • 輪袈裟(わげさ)…首から掛ける簡易袈裟

仏具の処分

ごみとして捨てる

荘厳などの目的で使う仏具には魂が入っていませんので、不要になったらゴミとして捨てても構いません、燃えるゴミ、不燃物、資源ごみに分けて出しましょう。

ほとんどの仏具が陶器や金属で出来ていますので、不熱物あるいは資源ごみとして出すことになります。

亡くなった人の葬儀の時に使った四十九日の祭壇は「後飾り」と言いますが、付属していた仏具はロウソク立て、香炉など白い陶器で出来た物も不燃ごみとして出して構いません。

不燃ゴミとして出す場合には塩を振ってお清めをしてから出せば安心です。

しかしながら故人様の礼拝用に使っていた神聖な物ですから、仏具をゴミに出すことに出すことにためらう方は、葬儀を頼んだ時の葬儀社に引き取ってもらう方法が良いと思います。

仏具のお焚き上げ供養

やすらか庵のお焚き上げ供養

仏具は仏壇の荘厳に使われていたものですからとても有難い形をしていますし、毎日の祈りと願いが染みついているので、簡単には捨てることが出来ない方が多いのです。

しかし金属や陶器などが主体の仏具では、お焚き上げに出そうと思っても断られるのではないかと思うものです。

金属や陶器などで出来ている仏具はお焚き上げ出来ませんが、供養することは出来ます。

やすらか庵ではお焚き上げ品を毎日読経供養すると共に、実際のお焚き上げ供養の日には燃えない物に関してはお焚き上げの儀式を行い、お祓いをし、更に火にかざすことで供養させて頂いております。

仏壇をお焚き上げに出す時は仏具が一緒に付いていて構いません。

お片付けというものは全て綺麗に片付けてしまわないと意味がありません。

仏壇や位牌のお焚き上げの場合には、亡き人に対して充分に供養をして、尚且つ御依頼主の方の気持ちが成就できます様に祈願させて頂いて居ります。