念仏とは

念仏のイラスト

念仏は仏教の修行の一つで、仏の姿や功徳を思い描いたり、仏の名前や名号を声に出して唱えること。

念仏の由来

釈迦の成道

念仏はサンスクリット語でBuddhānusmṛtiと言い、仏陀に対する帰依、礼拝のような意味があり、仏を思い描きながらの瞑想修行のことでした。

釈迦在世当時は難行苦行の苦しみを越えたところに悟りの境地があると信じられていて、あらゆる宗教者たちが競って難行苦行を行う中で、釈迦も体がやせ細り、誰が見ても死んだかと思われる極限状態にまで肉体を追い詰めましたが、やがてこういった難行苦行が無意味であることを悟ったのでした。

35歳になった釈迦はナイランジャナー川で沐浴した後に村娘のスジャータから乳糜の布施を受けて体力を回復してピッパラ樹の下に坐して瞑想し、ついに悟りを得ることが出来て仏陀になったのです。

難行苦行ではなくて仏を想う瞑想修行が悟りに至る有効な修行だったのです。

最澄による念仏

天台宗最澄のイラスト

天台宗の開祖である伝教大師最澄は止観によって阿弥陀如来と自らの両方を観想する専修念仏を導入しました。

仁寿元年(851)円仁が比叡山に建立した常行三昧堂では90日間に亘って本尊の阿弥陀如来の周りを観想と念仏をしながら歩いて回る修行の常行三昧会の伝統が今も続いています。

源信の念仏

往生要集のイラスト

恵心僧都源信による「往生要集」では「観想念仏」と「称名念仏」の二つの念仏を説き、「観想念仏」を重視して阿弥陀如来来迎の儀式を重視したために平安貴族に受け入れられて流行しました。

称名念仏

法然の念仏のイラスト

称名念仏は、良忍・法然・親鸞などによって布教され、良忍は融通念仏宗、法然は浄土宗、親鸞は浄土真宗の開祖となりました。

踊念仏

空也上人のイラスト

踊念仏は太鼓や鐘などを打ち鳴らし、踊りながら念仏や和讃などを唱えることで、平安時代中期の空也に始まり、時宗の開祖である一遍上人、一向宗の開祖である一向も踊念仏をひろく大衆に広めました。