戒名の院居士、院大姉とは
仏門に入った仏教徒の証として頂く名前が戒名ですが、死者に付ける戒名には宗旨宗派による違いの他に、布施の額により上位から下位までのランク付けがあり、院居士、院大姉は上位の戒名になります。
院居士、院大姉の意味
院居士、院大姉の戒名の意味は、天皇が出家して位を譲った後に住むようになった御所のことを〇〇院と呼ぶことから付けられた戒名で、本来は天皇クラスの人しか授与されないものでしたが、その後は皇后、親王、将軍、武家などにも授与されるようになり、それでも寺院に対する貢献度としても並外れた者にしか授けられないものでしたが、近年は一般の人であってもお金さえ出せば自由に貰えるようになりました。
院居士、院大姉の必要性は?
戒名料が高いという話題をいろんな所で聞きますが、高くても必要な人がいるという需要と供給の関係があるからではないかと思います。
生前中に国家に対して貢献したと認められる人に対しては例えば文化勲章などの授章の制度があって、その勲章は大変に喜ばしく、誇らしい物として大切に取り扱われます。
また授章されたことは世の中に貢献したことが国から認められたという事で、家族の者にとっても大変に誇らしいことであり、家の株が上がったような感じがするのです。
しかし文化勲章のようなものは簡単に貰えるものではありませんので、そういう時にお金を出せば何とかなる高貴な位としての戒名が欲しいという人が現れるのです。
天皇しか貰えないような高貴な戒名がもらえるのなら、死後のお葬式の時に位牌に書かれて祀られるのはもちろんのこと、お墓にまで彫られて半永久的に残るのですから、少々無理をしてでも貰っておこうと考えるのが、貧乏人の発想なのかもしれません。
また寺院にとっても 戒名料というものは寺院を運営していくためにとても大切なもので、寺院の維持管理には結構お金がかかるものですから、多額の戒名料を出したという人は、寺院に貢献したという事であり、本来の寺院のあるべき姿としては信徒の布施のみによって成り立っているのですから、当然のことと言えば当然なのですが、僧侶が本尊に仕えることと、信徒の幸せを祈ることのみに専念しているかと言われれば、違う僧侶が多いのも事実です。
院居士、院大姉の料金、御布施
院居士、院大姉の戒名は最低でも50万円~100万円を超えることもあります。
寺院の格式によっても違いますので、格式の高い寺院で格式の高い戒名を貰おうと思ったら、それなりの御布施が必要なのです。
戒名は時として家柄を表したり、地位や名誉を表したりするもので、墓石にも永久的に刻まれる訳ですから、地位や名声を後世に残したいと願う人にはとても良い勲章なのかもしれません。
寺院によっては院居士、院大姉の戒名は出さないと決めている所もありますし、出したにしてもお寺に貢献した人のみであるとか、そういった基準というものはあるものです。院居士は男性で、院大姉は女性です。