一膳めしとは

一膳めしのイラスト

一膳めしとは死者の枕元に供える御飯の事で枕飯(まくらめし)とも言い、一膳のみの盛り切りの御飯に箸を立てて供えます。

一膳めしの由来

諸行無常-餓鬼草紙

死者の枕元に供える一膳めしは古くから行われていたことが知られていて、古事記や日本書紀にも記されている死者に対する葬送の儀式である殯(もがり)が起源という説があります。

殯は死者を埋葬するまでの間に棺桶に入れて安置し、別れを惜しみつつ死者の復活も願いながら時間の経過と共に死者の死が確実に進んでいくことを受け入れる儀式の事です。

殯を行う場所を殯宮(もがりのみや)と言い、死者の復活を願って歌舞音曲や祈りの儀式を行い、様々な供物を供えます。

死者に対する供物の飯が一膳めしで、死者に対する専用の飯で、おかわりなしの一膳が礼儀なのです。

一膳めしと仏教

涅槃のイラスト

仏教的な枕団子の由来としては、釈迦悟りの世界に入る時に菩薩が香飯を捧げたけれど、食べることなく悟りの世界に入ったために香飯の代りとして供えたという故事によるものです。

香飯とは仏に捧げるための御飯のことです。

釈迦が入滅の時の話ではないかと思われるのですが、供物としての御飯はあるでしょうけれど、インドでは箸を使いませんので当然のことですが箸を立てるようなことはしなかったことでしょう。

橋渡し

三途の川

一膳飯には箸を突き立てることで死者の専用の飯であることを示し、他の人が食べないようにすると共に、この世とあの世の橋渡しという意味があります。

死者の国に行くには49日かけて死者の世界である彼岸に渡るとされる三途の川を渡る必要があり、三途の川の「三途」の語源は「三本の道」と言うことですが、一説には三本の道とは亡き人の生前の行いによって三通りあって

  • 善人…金銀七宝で作られた橋を渡る
  • 軽い罪人…山水瀬と呼ばれる浅瀬を渡る
  • 重罪人…強深瀬あるいは江深淵と呼ばれる難所を渡る

とされています。

三途の川には善人であれば安全に渡るための橋が架かっているから心配する必要は無いのですが、世の中善人ばかりではありませんので、橋を渡ることが出来ますようにとの願いを込めての橋渡しなのです。

茶碗を割る

茶碗を割るイラスト

出棺の時に一膳めしは枕団子と共に、ラップや半紙などに包んで棺桶の中の死者の傍に持たせるように入れて差し上げます。

その時に使った茶碗は玄関先で割るのですが、死者がこの世に未練を残さないように、本人が使っていた茶碗を割ると言われています。

私が師匠より聞いた話では死者の国ではこの世と全てのことが逆になっていて、たとえばこちらの世界が昼ならあの世の世界では夜ということで、あの世の世界では逆さまの状態で歩いているそうですが、この世で茶碗を割っておけばあの世ではちゃんと使えるのだと言っておりました。

一膳めしの作り方

末期の水のイラスト

一膳めしを作る時にはまず新しく一合のお米でご飯を炊きます。

既に炊いてあるご飯を使うのではなくて、新しく炊くのです。

茶碗と箸は故人が生前に使っていた物を使い、炊きあがった一合のお米を全部二つのお椀に注いでからその二つの茶碗をぎゅっと合わせてから故人の茶碗を下にして上の茶碗を取り外しますと大盛りの御飯が出来ますので、その一番上に故人が使っていた箸を揃えて上から下に突き刺せば出来上がりです。

出来上がった一膳めしは白木の経机の上に、末期の水、香炉、蝋燭立て、花瓶、枕団子、水、鈴(リン)などと共に並べます

僧侶が枕経に来てくれるような所では白木の位牌に戒名を書いてもらい、白木の経机の上にお祀りします。